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認知症

認知症の対応/もうちょっと詳しい情報を

2020/11/29

認知症の対処について初心者向けしかサイトが無いので、中、上級編を書いてみました。書いた事は、あくまで私の研究と介護職として、また、家族介護の経験からです。

2019年の厚労省の資料によると2020年には認知症の人は600万人以上という推計になってます。この人数は東京都の人口の約半分、千葉県の人口と同じ、京都府の人口の倍以上という規模です。さらに、ここ8年で150万人増えてます。この150万人は、川崎市、神戸市、福岡市の各人口規模とほぼ同じです。

65歳以上の高齢者の19%が認知症と言われ、同じ程度の規模で軽度認知障害(MCI)の人がいると言われています。

これだけの人達が認知症で苦しんでいるのに、それに対する対処法がサイト上では、あまりにも貧弱でワンパターン化しているものばかりなので、頑張って書いてみました。

アルツハイマー型(神経変性疾患)と、脳血管障害(脳血管障害)から始まる認知症とは、対処方法が違います。
例えば、
アルツハイマー型の人に対しては、生活をパターン化した方が良いけど、いろんな人と話した方が良い。
しかし、脳血管障害の人に対しては、生活に変化を与えて刺激がある方が良いが、親しい人とだけと話た方が安心。
みたいな感じです。

そして、この違いは、認知症の初期から中期に対応するとき重要になります。しかし、初期の対処は特に難しいものです。

目次

認知症の疾患別の中核症状のラフスケッチ

アルツハイマー型 72.9% 脳血管障害 19.5% その他
疾患名 アルツハイマー型認知症 67.6%

レビー小体型認知症、パーキンソン病 4.3%

前頭側頭型認知症(ピック病) 1.0%

脳血管性認知症 19.5%

 

(%は平成25年.5報告より)

混合性

アルコール性

その他

原因 高ストレス、免疫の低下等によるホモシステン酸による有害物質やアミロイドアルファー等のタンパク質の蓄積による脳細胞の変性

持病との関係は少ない

脳卒中、脳梗塞、高血圧、血栓などにより脳に酸素や栄養が到達しない

高血圧、糖尿病等の持病がある場合が多い

初期

2~6年

記憶障害、見当識障害が多くなる認知症の自覚は少ない

身体的麻痺等の障害は無い

落ち着きがなかったり、深刻みが無い場合が多い

(アルツハイマー)全体的に能力が低下していく

(レビー小体)幻視、寝ぼけ障害、無動、姿勢維持障害、歩行障害等

(前頭側頭型)意欲低下、異常行動、人格変化

認知症の自覚はある

手足が部分的にマヒしたり、しびれたりすることが多い

精神的に不安定になることが多い

まだら認知症

 

 

中期

2~3年

(アルツハイマー)

人格が変化することが多い

人格はある程度保持される
記憶障害、見当識障害が多くなる

BPSDが多く見られる

尿意、便意が無くなり、失禁が目立つ

後期 言葉の意味が失われ、次第に会話が通じなくなる

食事に介助が必要となる

歩行が緩慢となり、左右のどちらかに傾くようになる

 

便宜上、上記の様に分類しましたが、多くの認知症の人達と接した経験上から、脳血管障害を高齢で発症した場合、アルツハイマー型と混合している人が多くいるように思えます。

アルツハイマー型の発症には20年以上かけてアミロイドアルファーが脳に蓄積するというのが定説です。また、2020年夏に九州大学の先生が、歯周病菌の毒素が血液に循環し、その全身の血液からアミロイドアルファーが脳に集まるという事を証明したようです。この辺のメカニズムが腸の免疫力とアルツハイマー認知症予防と関係しているのかもしれません。(これまでアルツハイマーと腸の免疫力減退および糖尿病と相関がある事は分かっていました)

このようなメカニズム研究の成果は薬品開発に大きな進展をもたらすので、今後、アルツハイマーの進行を一生停止できる薬ができるかもしれません。

認知症の共通要素

「認知」の意味は?

素朴に「認知て何に?」思いません?私が調べてみると、「目で見た情景や出来事を、自分の経験の記憶と照合して、どうしたら良いかを判断できる(能力)」という事のようです。

ところが、認知症の人には、記憶が無くなるので、目の前の出来事は、いつも初体験となります。初体験はドキドキします💓よね。

例えば、様々なスタイルをした犬を見ても、あなたは、「犬」と判断できます。見たこともない犬でも、「猫や狼とは違う」と判断できます。これが認知の力です。さすがに認知症でも重症でない限り犬は認識できます。

しかし、記憶が欠落してしていくと、参考になる記憶がなくなります。例えば、外の景色や景観について、参考にする記憶が少なくなると、今見ている景色は、「初めて見る景色」=「来たことが無い景色」「どこにいるか分からない」=「不安、心配、何とかしないといけない」というように思考が展開していきます。このように目の前にあるものが、何なのか、どの様な状況かを判断できない事を「認識できない」と言います。

病的原因が無くても、老齢化で脳は収縮します

それだけでなく、多くの認知症の人は(原因に関係なく共通に)、老齢化に伴って脳の収縮が起こってるので、ゆっくりと考えるようになります。さらに、難聴も起こってきますから、他者が何か言っても伝わらに事が多々あります。筋力体力が無くなっているのに頑張ろうとします。そして、不安、恐怖の感覚はますます凄く鋭敏となります。

以上が、認知症に対する第三者の言い方です。

そして、「認知症の人には寄り添いましょう」とサイトにはよく書いてありますが、こんな理解では認知症の人の気持ちが分からないと思ったので、色々調べてみました。

本人は「どのように考えているか?」

認知症研究の有名な先生に長谷川和夫先生が、自分が認知症になったから、もっと良く分かる筈だと、本を書いてます。また、樋口直美さんの「誤作動する脳」と言う本が、レビー小体型認知症の当事者研究本として出版されています。

長谷川先生の本の凄く印象深いのは「自分の中では、(世界は)いつもつながってるのです」「自分のストーリーは、いつも連続しています」「だから、このストーリーを壊されたら、嫌だし、不安になって、恐怖を感じてしまう」という言葉でした。

それって、今起こった事柄は、次の瞬間、忘れてしまうけど、怖い気持ちだけ(頭に)残ってることです。これを「感情記憶」というそうです。

脳の仕組みで説明すると、

本人は、言葉の意味を前頭葉(頭の表層)で理解し、生命の快適か不快か、はたまた、生命の危機かの情報を作り出します。そして、次の瞬間、その情報を脳幹(頭の中心部)に伝えて、脳幹が身体に指示を出します、そして身体が反応します。例えば、快適なら、ほわっと、不快なら、ゾワと、不安なら、どーん、恐怖なら、パニック!という気持ちの身体の反応です。(あくまでも私の感情表現です)。そして、この感じた感覚だけ残るのです。特に、ネガティブな感覚は強く感じて、長〜く続くようです。しかし、この時、何を言われたかは忘れてしまい感情記憶だけが残ります。

要は、脳の皮にあたる部分(思考する部分)がが薄くなって、果実の部分(感情の部分)が剥き出しになりそうな感覚で、非常に感じやすい状態になっているというイメージです。

脳科学的には、ネガティブ感情は、ポジティブ感情より私達に数倍のインパクトを与えます。また、エピソードの記憶より、画像の記憶の方が簡単に、そして、多く記憶できます。

したがって、何らかの否定的な出来事があった場合、認知症の人は、そのストーリーは忘れても、ネガティブな感情と目の前顔のイメージ(景色)がセットで脳に定着してしまいます。その結果、本人が怒ったり、泣いたりして、本人に近づけなくなったります。これは、誰でも起こる脳の安全装置が働いた状態になっているにすぎません。

対処の基本

認知症の人ととの対応における重要ポイントは、時期に関係無く「本人のストーリーを壊さない」「本人と感情を共有する」という2点だと考えます。これは健常者の人との対応と同じとも言えます。ただ、健常者の人の場合は、言葉でけでフォローできますが、認知症の人は言葉ではその瞬間の関係修復ができないというところが違う点です。違う表現をすれば、認知症の人とは、ノンバーバル(非言語)のコミュニケーションが取れればOKということです。(後述)

下記にケアメソッドを少し紹介していますが、全ての基礎は、心理学者のカールロジャースの「完全なる受容」にあるようです。(後述)

対処方法の共通ポイント

まず始めに

対応する当人が感情に流されないで冷静さを保持しないといけません。これが最大に難しいです。

一方、よく「嘘も方便だから」と言って認知症の人を偽って介護したりしますが、介護者の方がこの嘘に疲れてしまったり、イライラしたりしてしまう事があります。逆に「嘘をついてはいけない」という指導する人もいます。一体どちらかが正しいのか?

この解答は、「バリデーション」,「パーソンセンタードケア」,「ユマニチュード」というケアメソッドの中にあります。ただ、考え方を理解しないで技法だけを断片的に使ってもBPSDを悪化させてしまう事もあるので注意する必要があります。

バリデーションとは

認知症の人は、自分の言いたいことやしたいことを言葉で表そうとしてもなかなか上手くいきません。その結果、多くの人は周囲から孤立してしまうことになります。バリデーションでは言葉より、感情表出を促すことを重視します。

認知症の人に対しては、本人が感情的にならないよう配慮し、なるべく穏やかに過ごしてもらおうという考え方もあります。バリデーションはそれとは逆のアプローチ方法で、むしろ、悲しみ・怒り・怖れ・不安といったマイナスの感情を抑え込むことなくどんどん表に出してもらい、その感情に対して受け手側が共感するという手法です。

その目的は「思い残しや心の傷」といった、人生における未解決の課題への取り組みを支援することにあります。つまり、負の感情を表出させ、その苦しい気持ちに対して受け手側が理解を示すことで、本人が自身の人生の意味や存在価値を確認できるように手助けするというわけです。いわゆる「吐瀉療法」と同じような感じです。そうすれば、本人が抱えている喪失感を埋めることができ、「ストレスや不安の軽減」「BPSD(行動・心理症状)の緩和」「自尊心の回復」「途絶していた他者との交流」といった問題解決につながるとされています。

しかも、バリデーションによって効果が期待できるのは認知症を患っている本人だけではありません。世話をしている家族や介護職の人たちにも多くの効用をもたらすことができるのです。

まず、認知症の人の言動を理解することにより、互いに信頼関係を築けるようになります。その結果、家族のフラストレーションは緩和され、介護職の人は自分の仕事に自信をもつことができるようになるというわけです。

バリデーションを手短に言えば以上のような意味合いですが、実践するのはなかなか難しいですね。

もう少しハウツー的にまとめてみます。

出会い

第一ステップとして、コミニケーションが取れる状況を作る必要があります。

具体的には、毎日その日、初めて会ったとき(出会い)、ラポールを作る必要があります。たとえ家族でも、健常者とでもです。ただ、関係が近く、健全な認知力を持っている人とは、非常に短時間でラポールが出来上がります。それこそ目が合った瞬間笑顔を送るだけで完成です。しかし、必ずこの心理的手続きは必要で、誰との関係でも省略できません。

まして、認知症の人に対してはある程度時間をかけてラポールをつくる必要があるでしょう。

ラポールとは

ラポールとは、「こころの架け橋」です。お互いに始めは何処か緊張してるけど、気持ちが通じ合う瞬間を感じる瞬間がありませんか?友人と顔お互いに合わせた時に、相手がニコリとしたら、あなたは心がほっとしませんか?その瞬間がラポールです。

それに比べて、友人がにこりともせず、何か話しかけてきたら、話の内容に関係なく一瞬身構えてしまうこともあるでしょう。これはラポールが無い状態で、話かけたからです。

会話について

否定の文章は脳に入りませんから、本人にとって騒音にすぎません。

この説明自体が否定型だから、望ましい表現に変えると、

本人に言う文章は、いつも、肯定で。例えば、

急に立ち上がらないで!から、「ゆっくり立ち上がって!」へ

スキンシップ

専門家のアドバイスには、不安を感じた認知症の人にスキンシップが、良いという意見が多いですけど、初対面では無理です。特に介護職の場合、お互いの馴れが必要だと思います。(でも、スキンシップが許されると、その効果は絶大です!)初期のあ

工事中

初期の対応

初期は難しい

とになります。(できだけ初期で投薬すると認知症の進行を遅らせることが大分できるようないなっているようですが)

 

中期の対応

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