知って得する効果最大化!レジリエンストレーニング

レジリエンスを高めるために、科学的な裏付けを理解しましょう。そうする事で、最大にレジリエンスを自ら高めることができるでしょう。

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人の判断を誤らせるアンカリング

先日、換気扇の大掃除をして腰を痛めてしまいました。しかし、1週間近く病院に行きませんでした。後から考えれば早く病院に行けばよかったと後悔しています。

換気扇は、もう一年以上掃除してなかったものですから、随分と汚れが溜まっていました。いざ掃除を始めると汚れがなかなか取れなくて、「もうやめようかな」と思うと、少しきれいになるのです。ですから「もう少し頑張ってみるか」と思い、その繰り返しで、ついつい頑張ってしまいました。

お風呂場に換気扇のフィルターを持ち込んで、なんと5時間も連続でかがみ込んだままの姿勢だったのです。立ち上がろうとしたとき、「腰が!痛て!」経験したことがない激しい痛さで、昔話に出てくるお爺さんみたいに腰が伸びないのです。

どうにか中腰で移動してソファーに座り込むと、痛みは消えてなくなりました。そして、立ち上がろうとすると痛みが再発しますが、それ以外の姿勢では何ともないのです。

そこで私は、「一時的なことだから明日にはよくなるだろう」と思って、その日は早めに休みました。

翌朝、腰痛はだいぶ少なくなりましたが、立ち上がるときは思わず腰に手が行くほどの痛みがありました。しかし、仕事もあり、「まあ、そのうち良くなるだろう」と考え、そのまま2~3日我慢して過ごしました。

痛みがぶり返して「もうだめだ、病院に行こう」と考えたのは皮肉も土曜日の朝で、近くの病院は週明けまで休みでした。

翌週、医者からぎっくり腰と診断され、電気治療とストレッチ運動によって即日痛みは大分治まりました。

今考えると、「なぜ、病院に早く行かなかったのだろうか」と不思議に思います。自分の痛みですから、忘れることはできませんし、痛みを感じるたびに嫌な思いをするのですが、「なんとかなるだろう」とそのたびに考えてしまいました。実はこのような不合理な(意思)決定は、人はよく起こすことなのです。

なぜなら、人の脳は自分の考えていることに合致する事象や情報はよくキャッチしますが、それに合致しないことについては、頭に入ってこないという性質があります。

アンカリング

これによく似たものに「アンカリング」というものがあります。船がアンカー(錨)から離れないようになっている事象から来ています。先にある情報(アンカー)が判断を歪め、アンカーに近づくというものです。

たとえば、テレビショッピングで「この商品通常価格は30万円です。しかし、今回に限り12万円で提供!」。これを見た私達にとって30万円が先行情報となり、それが基準となってしまうので、12万円は「安い」と感じてしまいます。これがアンカリングの効果です。

最近、カルビーのカールおじさんの商品が関東からなくなるというので、その発表直後からバカ売れになっています。これもアンカリングです。

あの「カールおじさん」がアンカーとなって「お菓子」が思い起こされるだけでなく、お菓子を食べていた時の自分の様々なものが五感によみがえってきます。そのことで懐かしさが蘇り、その懐かしさを感じて売上につながった可能性があります。

このように脳は様々なものを結び付け、認識、考えます。この脳の性質は情報の欠如を補い、精神的安定性をもたらす非常に便利なものです。しかし、一方では「不合理な(意思)決定」の基となっています。

換気扇のケースで言えば、以前に屈んだ姿勢をしたとき同じような腰の痛みを感じすぐに治ったという経験があったのです。その情報がアンカーとなっているため、「すぐに良くなるだろう」と安易に考えたのです。

ところが、その経験の記憶は曖昧ではっきりとは憶えていないのです。しかし、思考として「大丈夫。すぐに良くなる」という確信だけがはっきりと起こりました。そして、その確信は痛みが増す2~3日後まで変わることはありませんでした。

楽観的思考と悲観的思考

その間、「朝起きたときは痛みが少なくなっている」「立ち上がるとき以外は痛みがない」「昨日より痛みは少なくなっている」「明日はきっと痛みはもっと少なくなるだろう」と楽観的に考えたのです。

違う言い方をすれば「夕方や夜には痛みが増した」「立ち上がるときは毎回痛い」「今日の痛みは体が慣れただけかもしれない」「明日もこの痛みは続くかもしれない」と悲観的な表現もできます。しかし、そのようには考えなかったのです。

この2つの考え方は同じ時期、同じ事象に対して考えられることです。もしも私がすぐに悲観的な考えをすれば病院に直行したことでしょう。その点からすれば楽観的思考は解決に向けての行動を起こさないという欠点を持っています。まさしく今回はそうでした。

逆に言えば、悲観的思考は問題解決に対する行動を引き起す原動力となる思考とも言えます。

ここまで読んで「楽観的な思考はだめだな」とか「悲観的思考の方が良いのだ」と考えた方、あなたはアンカリングにハマっている可能性があります。

この文章の初めに書いてある「後から考えれば早く病院に行けばよかったと後悔しています」というアンカーにとらわれていませんか。

今度は、病院から帰ってきた直後を想定しましょう。そのタイミングでも上記と同じ楽観と悲観の考え方ができます。病院へ行ったからといってすぐに痛みがなくなるわけではありません。しかし、そのとき「明日もそんなに変わらない」という悲観的な思考だけをすると気分が落ち込み、嫌になってしまいます。やはり楽観的な思考も必要です。

思考の幅を広げよう

結論は楽観的思考にも悲観的思考にもメリットもデメリットがあり、どちらの思考が良い方というものは無いということです。ただあるのは、一つの思考に捕らわれてしまっていけないということです。

一つの思考に捕らわれないようにするためには、その考えを自問自答で検証してみることです。

私のケースで言えば、「まあ、そのうち良くなるだろう」「なんとかなるだろう」と考えたとき、「本当か?」「その根拠は何?」という質問を自分にすればよかったのです。

きっとその回答は「前の経験から」というものだったでしょう。そうすれば「前と同じ腰痛か?」とさらに質問するだけで「今回は何となく違う気がする。何故なら前回1、2時間で痛みがなくなったけど、今回は翌日以降も痛みが治まらない」という回答になったかもしれません。

このような脳内会議をすることで思考の柔軟性が高まり、思考の幅も広がります。その結果、より合理的な判断が可能となります。一度試してみてください。

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