レジリエンストレーニングの理論と内容を知ってますか?

レジリエンスを高めるために、科学的な裏付けを理解しましょう。深く理解する事で、最大にレジリエンストレーニングの効果を高めることができるでしょう。

コンピテンシー

その時、何を考えていたか!思考プロセスをインタビューで聞き出す方法

2017/12/26

今回は、インタビューで、その人のキーイベントの時のクリティカル思考を聞き出す手法を紹介します。

この手法は、モチベーションの源泉や、スキーマ、ビリーフを浮き彫りにするところにつながっています。また、強みの発見に威力を発揮します。

加えて、今まで私がハイパフォーマーに上記の手法を使ってのデプス・インタビューから、いくつか事例を紹介していきます。

乗用車セールスの事例参考リンク:「売上高い・CS高い」優秀営業マンの他との違いを発見

「何を考えていたか」が大事な理由

過去、企業は、パフォーマンスを上げるために、「何を」「どのようする」と良いかを調べ、それをマニュアル化したり、社員教育をしてきました。

この論理は、状況が同じであれば非常に効果的です。最たる例は、製造現場です。

しかし、営業やサービス業、マネジメントは、お客さんや部下、組織状況が変化し、一概に「これさえ行えば良い」というようにはいきません。

また、実施する人のパーソナリティが提供さられる側に影響を与える場合は、効果的な「やり方」が変わってきます。

例えば、ベテランのマネジャーと新人のマネジャーでは、部下のミスを指摘し、改善させるための効果的アプローチ方法は違ってくるでしょう。

適切な行動

タスク(仕事)と状況、パーソナリティの関係は、上図のようになっていて、三つが重なったところが、効果的行動となります。

同じタスクでも、状況や実施する人のパーソナリティが違えば、効果的な行動が変わってくるという関係です。

そこで問題になってくるのは、今まで効果的と考えていた「行動」を教えるのでは無く、状況と自分のパーソナリティを加味して、効果的な行動を考え出す「思考」を教える必要が出てくるということです。

これを実践しているのが、ディズニーランドのキャスト(スタッフ)のマニュアルの無いマネジメントですね。「自分がお客さんだったら何がして欲しいかを考えなさい」というアプローチです。

ただ、これはポリシーで、重要なものですが、これだけでは、具体的な行動に落とし込んだ時に、バラツキが出てしまうので、幾つかのパターンを研修で学習する必要はあります。

車の運転には、50,000のスキルがあると言われていますが、こんな膨大な量のスキルを教習所で身につけなければならないなら、誰も卒業できないでしょう。

しかし、運転には、幾つかの代表的な思考プロセスがあります。例えば、「前進する」「停止する」「曲がる」「バックする」等というような代表的なパターンがあり、実践は、その数種類の組み合わせです。ですから。この典型的なものを身につけ、後は応用していくことでスキルが身につきます。

次の課題は、高いパフォーマンスのための「何が典型的な思考プロセスか?」ということになります。

思考プロセスを聞き出す方法

2000年代ハイパフォーマー研究は、かなり盛んにアメリカでも日本でも実施されました。

しかし、私の経験では、当時、日本の企業で作成されたり、使われていたアウトプットは、キーになる行動のアウトライン程度のものがほとんどで、マニュアルを抽象化したものや、行動のガイドラインと似たものでしかありませんでした。

この原因は、ハイパフォーマーの「何を聞き出すか」ということは、もちろん、インタビュー手法そのものを理解していなかったからでしょう。

ライル・M. スペンサーの本にBEIという名称でインタビューの手法が多少紹介されてますが、あの中身を自己流で展開しても難しいですね。

インタビューで、何から聞くか

成功体験と失敗体験の二つを聞くというのが基本ですが、成功体験だけで充分です。

成功体験と言っても、誰もが認めるようなもので無く、自分にとって強く印象に残っていて、自分にとって重要な体験を二、三個、あらすじと一緒に聞き出し、それぞれのストーリーにネーミングします。そうすることで、対話がしやすくなります。

まず、一つのストーリーを選択して聞きます。

複数のストーリーは、時系列順に聞いた方が、効率的で、理解しやすいです。

ストーリーの一番初めの質問は、

「このストーリーの起こりは、なんですか?」「どのように巻き込まれましたか?」

「誰かに巻き込まれたのか」「自ら始めたか」は、重要です。特に、「何故、事を始めたか」の動機を聞き出すチャンスです。

しかし、何を聞き出したいかをインタビュー対象に気づかせてはいけないのは基本ですが、「何故?」という質問も禁止です。

理由を聞きたい場合は、「その時は、どのように考えていましたか?」という質問をします。

「何故質問は相手を身構えさせる」ということはよく知られていますが、このインタビューの場合の理由は、何故?という質問すると、相手は、「今」を起点にさかのぼって理由を新たに考えようとします。当時の考えを思い出さないで、記憶の上書きを無意識にしてしまうからです。

ハイパフォーマーの例

この質問のハイパフォーマーの回答例は、

「前から取り組みたかったことですから、チャンスだと思ったから、自ら手を挙げました」という模範回答もあれば、「あまり乗り気ではなかったのですが、指名されましたから」というものもあります。

これらの回答はあまり問題なく、次の「その時、どう感じましたか?」という質問の回答が大事です。

ハイパフォーマーは、「大変だとは感じましたが、やってみよう」とか「やるだけやろう」「やるしか無い」というように「意志」が見えてきます。

一方、他の方々は、曖昧な回答でよく分からないケースが目立ちました。

ハイパフォーマーの思考プロセスをヒモ解く

ストーリーの始まりでは、インタビューで、その瞬間を切り取ることが非常に大事です。

その時は、いつで、どんな部屋で、誰と対話し、どんな会話し、どんな事を感じ、何を考え、その後、どんな発言や行動を取り、その結果がどうなったかを、聞き手の頭の中でビデオを再生できるようになるまで聞き出します。

この一番初めのシーンを上手く切り取れれば、聞かれる側もペースがつかめて、後は聞かれなくてもどんどん自分から話してくれるようになります。

この具体的なシーンを細かく聞き出すことを深堀すると呼んでいます。

深堀

上図は、深堀のイメージです。最初から最後まで深堀していると時間がいくらあって足りませんので、キーになる所を深堀する事になります。

インタビューを展開する

深堀が終わったら、「次に、事態が展開するのは、どのタイミングですか?」と質問すると、上図の深堀前までストーリーを聞き、深堀のタイミングをつかむことができます。

あるパソコンやプロバイダのお祭りフェアでの販売員の上記の質問をした時のインタビューの話です。

たくさんの人がお見えになっていて賑やかでした。その中で、70歳前後の夫婦が二人だけでいらっしゃったので、こちらから声をかけたのです。・・・・

質問:え?当時はどう考えていたのですか?

だって、フェアといっても、パソコン関係で、お客さんの中でダントツに年齢が高くて、それも夫婦二人一緒なのだから、何か目的が無いと、普通、きませんよね。だから声をかけてみたのです。

そしたら、広島に息子さん夫婦がいて、孫もいて可愛い盛りだという事で、最近はパソコンでテレビ電話みたいな事ができるらしいという事で、いらっしゃったようです。

深堀していく質問

質問:チョット待ってくださいね。どんな言い方で声をかけたのか、その辺から教えてもらえます?

キョロキョロしていらっしゃったので、「人が多いですから、こちらでゆっくりご覧になりませんか?見るだけで構いませんので、説明もさせて下さい」という感じで、人を掻き分けて、道を作るように、私の方が近づいていきました。

そしたら、ご主人の方が、ホッとした顔になったので、何かお探しだと思いました。

インタビューは、まだまだ続くのですが。

この一端から、フェアの人混みをハイパフォーマーの販売員は、どんなところを見ていたでしょうか?

何かを探すのではなく、自然に見ていたら、異質なものが目に入って来たという事です。

さらに、その不自然さをどのように理解するかという事も材料になります。

また、話術もありますが、それよりも、声をかけた時の相手の反応を良く見ていますね。

ただ、これらの思考プロセスをハイパフォーマーの特性と判断するのは、上記の三つについてが、他のシーンで繰り返し発見できるかという検証をしていく必要があります。

まとめ

このように、ハイパフォーマーは、二、三年前の事でも、かなり明確に記憶しています。

何故なら、非常に意図的に行動をしているためです。ある時に、一生懸命に考えて決定したことは、強く記憶に残っています。特にシーンの景色(会議室の着席の様子や相手の顔など)と一緒だと、より記憶に定着しています。

この意図的行動の反対が、反射的行動です。無意識に反応している行為は、まったく記憶されていません。カーネマン博士の直感的思考(ヒューリスティックス)と同じです。

カーネマン博士についての参考リンク:ノーベル賞を受賞したカーネマン博士の直感的思考と認知バイアスの話

この意図的行動こそ、ハイパフォーマーから学び、他の人達に広めたいたいですね。

参考リンク:コンピテンシーを研修で開発する方法

-コンピテンシー
-,