レジリエンスコンピテンシーとは
2017/12/31
レジリエンスを高めるコンピテンシーは、下記の6つだと言われてます。
今回は、アメリカン・サイコロジスト2011年1月号のMaster Resilience Training in the USAから引用しました。
しかし、コンピテンシー自体の本当の意味するところを理解するために、コンピテンシーのはじめからも加えて紹介します。
目次
6つのレジリエンスコンピテンシー
- 自己の気づきSelf-awareness自己の考え、感情、行動のそれぞれの非生産的なパターンを明確につかむ。
- 自己コントロールself-regulation感情表出の意欲やその能力と同じくらい、目標実現のための衝動や思考、感情、行動を押さえる能力
- 現実的楽観力Optimism自分や他者の中の良い点や、現実を直視しつつ、何ができるかに注目し、非生産的なビリーフに挑戦する。
- 精神的機敏性Mental-agility柔軟で正確な思考。新しいチャレンジの意欲やそのための切り口を見つけ出す。
- キャラクターの強みStrength of Character自分や他者の一番の強みを明らかにし、その強みを使って目標を実現している。
- 関係性Connectionポジティブで効果的なコミュニケーションや共感、意欲を通じて、相互扶助ができる強い関係をつくる。
しかし、みなさん、コンピテンシーて、どのように理解しています?
[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="ke.jpg" name="リンちゃん"]コンピテンシーとは、成果を出すための重要で条件反応的な思考プロセス![/speech_bubble]
[speech_bubble type="think" subtype="R1" icon="ke.jpg" name="リンちゃん"]コンピテンシーは、意図的な行動を表現して、そのタイミングで「何を考えている」かを伝えようとしたものなの[/speech_bubble]
コンピテンシーのはじめ
最近では、「コンピテンシー」という言葉を、単なる「能力」という言葉でしか理解しないで簡単に使っている人を良く見かけますが、「ほんとに分かってるのか?」と思いたくなることがしばしばあります。
コンピテンシーの概念は、もともと「動機」の研究から派生していて、「知識やスキル以外に、もっと異なる「能力」が、仕事やビジネスにおいて重要なのではないか?」という問題意識から発祥していて、当時ハーバード大学のデビット・C・マクレランド教授の論文が皮きりでした。
その論文は、1973^_^年に「Testing for Competence Rather Than for “Intelligence”」という題で、American Psychologistに発表されたものです。
コンピテンシーは、「達成指向」だけが有名に
内容は、「IQテストは、学校の成績にある程度関係があるが、ビジネスの成功や経営的リーダーシップには、ほとんど関係しない」というものであり、それよりも、「動機」や「コミュニケーションの力が重要な要素であり、それらを測定することが必要だ」という主張でした。
ところが当時、マクレランドの意図とは異なり、世間から、「IQテストを否定する」ということに対して強い非難を受けました。なぜなら、70年当時、IQテスト以外に採用の時に使えるツールがなかったので、採用担当者や開発に関わった学者達も大騒ぎとなったのです。
そのような中でも「達成指向」という動機が80年代に有名になったことをご存じの方もいらっしゃることでしょう。
レジリエンスコンピテンシーが表現しようとしたもの
話をもとに戻すと、コンピテンシーの研究は、後に、「思考方法や思考の仕方、思考パターンに、ハイパフォーマー特有のものがある」というように発展してきます。
思考プロセスを明らかにするインタビューの方法の参考リンク:その時、何を考えていたか!思考プロセスのインタビューでの聞き出し方
しかし、この思考特性を定義するときにあまりにも一般的に受け取られ、その真意を上手く伝えることが極めて難しいという問題に直面することになってきます。
ここまで来ると、上記の6つのレジリエンスのコンピテンシーが違うもののように読めてきませんか?
1つの例を使って
「1.自分の事に気づく・発見する(自己の気づきSelf-awareness)」。
これって当たり前ですよね。誰でもできるし、やってますよね!
ところが、私たちが普通の時に、普通によくある「気づき」をこれは説明しているのではないのです。
「必要な時に、必要な気づき」が得られれば、レジリエンスを高めることができるということを意味しているのです。
「なに、それ?禅坊主でもあるまいし!」と感じた人も多くいることでしょう。
このレジリエンスコンピテンシーの表現が意味するところ
このコンピテンシーには、2つの意味が入っています。
一つは、「自分が知らなかった自分を、発見する」という「気づき」を得るということです。人間は、自分のことを自分自身でどの程度理解しているかというとほとんど理解していないといっても過言ではありません。また、人は絶えず変化しており、多様な面を持っています。その意味でも人間は奥深く、さまざまな面を持ち合わせ、思わぬ思考や行動をするものです。そのような「自分についての新しい情報を認識できる」ということが重要なポイントで、それを「自己受容する」ということです。そして、さらに大事なことは、「必要なとき」に。
「必要なとき」て?いつ?
それは、「あなたの脳が、緊急体制に入って、その後、ふと我に返ったとき」です。
人はとかく、そのときに、自分の正当性を主張したり、しきりに自分に言い訳したり、時には、他に攻撃を仕掛けたりして、自己防御に忙しいのです。
「脳の緊急体制」については、改めて脳科学のブログで。
そう「ふと我に返ったとき」の、あなた自身の反応(思考)を、このコンピテンシーは伝えようとしています。
そして、二つ目は、気づきの蓄積である「自己理解」です。カール・ロジャースのself-congruence、そのままですね。これについて、アーロン・ベック等の認知行動療法のところで触れましょう。
まとめ
コンピテンシーとして定義されている内容の本質的理解は、
「どのような状況で」
「何を感じ」
「どのように考え」
「どのような発言・行動をするか」
という一連のオペラント(条件反応的)な思考プロセスで、
かつ、「効果的なものとは何か」を、
読み取る事です。
そして、それは一見、反射的なもののように見えますが、リサーチベースで作られたコンピテンシーは、極めて「意図的行動」であるものを抽出しています。
「意図的行動」の続きは、次のブログコンピテンシーを研修で開発する方法?をお読み下さい。