知って得する効果最大化!レジリエンストレーニング

レジリエンスを高めるために、科学的な裏付けを理解しましょう。そうする事で、最大にレジリエンスを自ら高めることができるでしょう。

トレーニング法

Tグループのはじめを知れば、レジリエンストレーニングに応用できる

2017/12/24

今回は、レジリエンス強化のためのトレーニング法の第一回です。トレーニングは、学習のために行うので、学習の方法と言っても同じ意味になります。

集中学習と分散学習

今回、扱うのは、学校での学習より広い意味の心理学における学習で、主に集合研修に焦点を当てます。

最近は、逆転授業という方式で、従来とは違う学校の授業もあり、多様なやり方で授業をしていますが、レジリエンストレーニングとは、学習のねらいや内容が違うということを前提として述べます。

トレーニングのデザインについて1番始めに考えなければならないのは、

集中学習と分散学習のどちらかが良いか?ということです。この論議は、プログラムの目的によって違ってきます。

ポイントは、

自己の思考パターンを自己理解するということを中心におこなう「気づきを促すプログラム」であれば、集中学習が適しています。

一方、前頭葉レベルでの「再評価」を強化し、「習慣化するためのプログラム」ならば、何回かに分けて実施する分散学習が適しています。

前頭葉レベルの「再評価」についての参考リンク:漠然とした「不安」に対処する方法

 

集中学習の代表「Tグループ」

集中学習とは、文字通り一回で何日間か連続で一時期におこなう学習です。

代表的なものは、Tグループ、別名ラボラトリートレーニング、感受性トレーニング(ST)です。いわゆる、学習の場を日常から切り離し、利害関係のない人達で構成された受講者が集まった形式のトレーニングです。

日本では1980年代に会社が管理者を派遣するオープンセミナーとして流行った時期があり、宿泊研修の代表のようなトレーニングです。しかし、今、あまり実施されていません。

参考:南山大学人間関係研究所でTグループ実施中

気づきを促すトレーニングの方法としては、エンカウンターと並んで素晴らしいものがあります。

今もこの手法の一部を使った研修をよく目にすることがあり、ちゃんと理解して使用すれば、今でも、かなり使えるものがあります。

はじめのエピソードを知れば、Tグループが分かる

どのように、Tグループの方法が創られたかを知ることで、もっと上手く体験学習的な実習を使えるようになる思います。

クルトレヴィン

元祖は、クルトレヴィンという第二次大戦中にドイツからアメリカに避難したユダヤ人です。当時ベルリン大学で教えていましたが、ユダヤ人は教授になれないという酷い時代でした。

そのレビン博士は、1943年から、マサチューセッツ工科大学でダグラス・マグレガー博士らとともにグループダイナミックス(集団力学)研究センターの創始者と言われています。

1945年には、アメリカ・ユダヤ人会の計画による「地域社会相互関係委員会」の設立に参加し、ユダヤ人や黒人などの少数集団に対する偏見の問題に挑戦し、民主的風土をいかに創ることができるかという研究を行おこなった時に創られたのが、ラボラトリートレーニングのが原型です。

エピソード

もっとも印象的なエピソードを知ればラボラトリートレーニングがどのようなものかすぐ理解できます。

当時、道をはさんでハッキリと住む人種が別れていました。そこで、スタッフが、コーディネートする条件で、両地域から参加者を集い、お互いに良い関係を作るために意見交換して行こうという実験的な集会を継続的に実施しました。

そうしている中で、スタッフ達が、集りを振り返り、もっとよくするためどうすべきという事を事後に話し合うミーティングを持ち始めました。

それを聞いた参加者が、「私達も参加したい」と言い出しました。

それを聞いたスタッフ達は、「教師の会議に生徒が参加すべきでない」という意見に対し、プログラムの最高責任者であったレヴィンは、「当事者である参加者が自分達の事が話題になっているミーティングに参加することについて、どんな問題がある?」と、参加を認めますた。

そのミーティングでは、観察をしていたスタッフが「あの時に、Aさんが、このように発言した事に対し、そのAさんのこのような意図を、Bさんは理解せず、このようなリアクションを取った」とコメントを述べると、当事者であるAさんから、「私は、そのような意図はなかった。むしろこうだった」と本人から異なる意見が出ました。そして、そのようなやりとりが、他のほとんどすべてのケースで発生しました。

集まりやミーティングを重ねるにしたがって、スタッフのみならず、参加者も自分の真意を伝えるため言葉を選び、聞く側は、その意味する事は何かと聞き耳を立てるようになってきました。

やがて、スタッフが何もしなくても、参加者同士の直接的なやり取りがおこなわれ、「今、ここで」お互いに「どのように考え、何を感じているか」を深く理解し始め、率直なやり取りを通じ、時には、お互いの心の触れ合いに感動さえ覚える瞬間が生まれるほどになりました。

これがTグループ、ラボラトリートレーニング、感受性トレーニング(ST)の始まりです。

トレーニングの概要

Tグループは、対人関係における自己理解を深める学習を通じての行動変容を目的にしています。

一方、非常に似たアプローチに、カールロジャースが開発したエンカウンターがあります。

カールロジャースのアプローチ方法の参考リンク:知っている自分自身は、ほんの一部分だと知ってますか?

それは、元々集団カウンセリングからスタートしているため治療的側面が強いもので、受講者自身が如何に本音で語らい、他者からの支援を受けながら、自分の問題解決(自己イメージと体験する自己のギャップ解消)をしていくことを目的としています。そして、時には学習となる場合があるというものです。

現代においては、両者のプログラムにおける差異を問題にすることはあまりありません。スタッフの参加者へのアプローチ方法に多少違いが見られるくらいです。

両者とも、6〜10人を1グループとして、各グループにスタッフが1〜2人つきますが、時に、参加者が精神的に不安定になったり、酷く落ち込んだりするケースがあり、そのリスクがあるが故に、Tグループが、ビジネスの世界で衰退して来た一つ理由かもしれません。

レジリエンストレーニングへの応用を考える

今まで紹介して来た方法論は、無構造のプログラム(スタッフから課題が与えられず、受講者達が課題自体を決めていく)をベースにしていました。

これらの方法は、5日から6日間の合宿スタイルが求められ、研修の品質は、担当スタッフの力量に大きく依存する事になります。

しかし、時には、受講者のhow to workを超えて、how to beの世界に踏み込むことがあるぐらいですから、効果は絶大なものにります。

そこで、無構造のリスクを回避して、効果的な面だけを残す目的で、インスルメント・ラボという、ツールを使ったワークショップがあります。その中で、体験学習的な実習が多く盛り込まれています。

レジリエンストレーニングにおいても、受講者の自己理解の促進のために、このような体験学習的なセッションを是非取り入れたいものです。

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