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脳科学

その瞬間!脳がハイジャックされ、感情に支配される

2017/12/27

外部の刺激に対して、脳が下図の⑤生物学的反応→⑥感情の結果、ネガティブな強い反応してしまうと、脳がハイジャックされてしまいます。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="me.jpg" name="著者A"]カチンと来たら、頭は回らない!あなたは、ほとんど正気のおバカさん [/speech_bubble]

①刺激から、⑤生物学的反応までの話のリンクはこちら脳のメカニズムを知らないとから

①刺激→②知覚→③判断→④認知→⑤生物学的反応→⑥感情→⑦予測的思考→⑧行動・発言

目次

脳のハイジャックとは

一度発生した感情(エモーション)は、押さえられないので、どのようにクールダウンするかが大事です。(下図)

11感情(エモーション)カーブ

エモーションのピークを通過するのに約5〜6秒必要です。その間は、感情に支配され。合理的な思考ができません。これが脳のハイジャックです。(下図)

41感情(エモーション)カーブ

しかし、ピークが過ぎても、元のモードにはもどりません。しばらく緊張モードか、イライラモードが続きます。この間も思考は限定的なものになります。

何故、ハイジャックされるのか

これは身体的反応なので、身体が自分を守るために身体をコントロールし、動かしています。

例えば、この指示は扁桃体という両耳の上あたりに左右1つづつ計2個ある脳から出ます。。

不安で眠れないのは、脳が「来る将来に、今、準備しろ。そうでないと死んでしまうぞ」と命令しているからです。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="ikari.jpg" name="扁桃体"]寝てる場合じゃない。準備しろ! [/speech_bubble]

もう4日も狩りに出ているのに獲物が一匹も取れない。植えたばかりの苗が洪水で流されてしまった。その時代、このような出来事で、死は着実に近づいていました。人類の歴史では、このような時代の方が文明社会より遥かに長いのですから、人間のつくりが古いままというのも理解できます。

[speech_bubble type="think" subtype="R1" icon="me.jpg" name="著者A"]人間の歴史の中のほとんどは狩猟採集社会 [/speech_bubble]

脳の中はどうなっているか

脳のメカニズムをもう少し正確に説明すると、脳幹へ身体的反応が帰って来た後、脳幹から視床下部、扁桃核、大脳新皮質等に情報が同時に伝えられます。

上の「感情のピークの通過前」までは、大脳新皮質が活動しない段階で、扁桃核が支配してる状態です。

この脳幹は、脊髄の真上で脳の深い中にあり、視床下部は脳幹のすぐ上、扁桃核は、脳幹の左右についになって存在します。それに比べて大脳皮質はご存知の通り大脳の表層部ですから大分遠いですね。

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扁桃核は、自分の生死に関わる事柄を扱うため、正確性より、早い決定を優先します。熱いお湯に手を入れたとき、考えるより早く手をお湯の中から出すという反射的に手に命令します。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="ikari.jpg" name="扁桃体"]熱い!手をお湯から出せ [/speech_bubble]

[speech_bubble type="think" subtype="R1" icon="me.jpg" name="前頭葉"]え!何も聞いてないけど?[/speech_bubble]

何故、こんなことを知る必要があるか

これまで「感情に支配された」とか「合理的思考がなされない」と表現してきたのは、脳幹、視床下部、扁桃核による支配なのです。よく言われる「脳のハイジャック状態」というものです。

参考:ABC理論がレジリエンスに効果を発揮するための脳科学的説明

これらの刺激に対する反応のメカニズムやそれぞれの役割について理解することで、自分が冷静さを取り戻すまでの間、何故、そのような感情、発言、行動をしたかということを「受容」できる助けになるからです。

いわゆる無意識の行為を意識下に置くことが可能になってきます。そして、あとで愚かな行為であったと感じても「自分を許すこと」もできるようになります。

この「自分を行為を認め、許す」ということが、レジリエンス・コンピテンシーのひとつ「自己に気づく」ということで、「負の思考の連鎖」を止める重要なキーとなります。

「負の思考の連鎖」とは、ここでは、「くよくよ考えて、悲劇の主人公になる思考」という程度に理解しておいてください。

脳幹や扁桃体の動きの整理

脳幹は、生命維持機能を、視床下部や扁桃核は、種の保存、本能や欲求をつかさどります。

脳幹は、刺激に対して「生命が危機に面したときにどのように反応するか」ということがプログラムされています。これは、回遊(探索)、報酬、逃避、固執(攻撃)の四つの行動パターンで、何に反応するか(どんな時に行動をするか)は、後天的に扁桃核が学習し、その周辺の大脳辺縁系に記憶します。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="ikari.jpg" name="扁桃体"]「何が危険か」を写真のように記憶している[/speech_bubble]

[speech_bubble type="think" subtype="R1" icon="kao.jpg" name="脳幹"]どう行動するかのパターンは生まれる前から決まってます。前頭葉なんか関係ない世界![/speech_bubble]

この記憶は、生命がかかっていますので実に緻密に記憶されますが、大脳のように緻密でなく断片的に様々な部位に記憶されます。そして、今後、記憶と一致する場合に、いち早く生命の危機の警告を発揮するために準備します。(無意識、ブリーフ、スキーマに関わる記憶)

扁桃核に関わる記憶を書き換えることは出来ません。

感情に支配された後の脳の動き

41感情(エモーション)カーブ

脳幹や扁桃核が関与するプログラムが動き出してしまったら自分では止められないのです。しかし、止められなくとも意識下に置き、記憶しておくことはできます。

このプログラムが終了したり、動かなければ(普段は動きません)、次に大脳新皮質(前頭葉)の「思考」の段階に入ります。

刺激に対して、身体的反応を通じて扁桃核が正常な範囲の反応であれば、大脳新皮質に情報が入った段階で「〜したい」という欲求的なものがやって来る場合があります。しかし、前頭葉に来たとき、「もし、〜したら、どうなるだろうか」と、将来を予測します。

これが⑦予測的思考です。再評価の思考とも言います。

①刺激→②知覚→③判断→④認知→⑤生物学的反応→⑥感情→⑦予測的思考→⑧行動・発言

脳は私達を救ってくれる

この段階で、自分の欲求のままに行動すると「とんでもない制裁を受けるかもしれない」と予測したら、それを止めて、「どうするか?」と、いろいろ思考し、最後の⑧行動・発言へと進みます。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="ke.jpg" name="著者"]前頭葉さん、ありがとう[/speech_bubble]

[speech_bubble type="think" subtype="R1" icon="me.jpg" name="前頭葉"]社会生活では、再評価の思考は大事なのだ。 [/speech_bubble]

将来をシミュレーションできるのは前頭葉だけです。ですから、前頭葉を持ってないライオンなどは、未来がありません。まさに、今を生きるだけです。

まとめ

脳の研究はMRIが普及してきて急速に発展しました。それまでは、人間の生きた脳の生物学的研究はできなかったかのです。せいぜい事故にあって脳の一部に損傷ができた人を研究することで「この部位は、こんな働きがあるらしい」という程度のものでした。

ですから、脳科学の本は新しいものに限りますよ。2000年以前のものはゴミ箱へ。

人間の生物学的な反応と思考の結果を同一に扱わないで下さい。また、レジリエンスは、人間の太古の脳の生き残りプログラムの処し方がメインテーマとも言えます。

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