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認知心理学

風邪のようにありふれた病気「うつ病」と、セリグマンの学習性無力感

2017/12/27

うつ症(一時的なうつ状態)になっている人は、5人に一人ぐらいと言われますから、その辺にウロウロしてます。

うつ病患者数のデータ

ちなみに、2008年厚労省発表で、うつ病患者数100万人越えです。2011年のデータでは約96万人ぐらい。厚生労働省のホームページで以下のように記載されています。2017年12月現在

うつ病の12カ月有病率(過去12カ月に経験した者の割合)は1~8%、生涯有病率(これまでにうつ病を経験した者の割合)は3~16%である。日本では12カ月有病率が1~2%、生涯有病率が3~7%であり、欧米に比べると低い。一般的に女性、若年者に多いとされるが、日本では中高年でも頻度が高く、うつ病に対する社会経済的影響が大きい1)。

一方、アメリカでの生涯発症率は17%〜20%ぐらいです。ただし、統計の取り方が病院等に通院している人を対象にしているので大分隠れた人がいると言われています。

うつ症は、男性更年期障害の典型的症状の一つでもあります。40歳中盤からは気をつけて下さいね、男性諸君。

著者A
その辺にゴロゴロいるな!

そんな肉体的な問題だけが原因でなく、まわりの環境認知の仕方が原因となって、うつ症の落とし穴にはまることもあります。

そのひとつが、"学習性無力感"です。

"学習性無力感"とは、セリグマンが、1967年に提唱した理論です。それは、ある程度の期間、自分がコントロールできない状況に落ち入ると、それに対して積極的な行動を起こさなくなる状態です。一般的には「やる気の無い人」に、なってしまいます。しかし、この“学習性無力感”は、うつ病という病気の入り口です。

著者B
無力を感じる学習をする?

学習性無力感の発見は、犬の実験から

セリグマンとマイヤーが、犬を使った実験で、電気ショックの流れる部屋の中に犬を入れました。

  • 一方の犬はボタンを押すと電気ショックが止められる装置のついた場所(A)
  • 他方の犬は何をやっても電気ショックを止めることのできない場所(B)

正しく動くボタンのついた場所の犬(A)は、ボタンを押すと電気ショックを回避できることを学習し、自発的にボタンを押すようになりました。

しかし、何も反応しないボタンの場所の犬(B)は、何をやっても電気ショックを止められないため、何も行動しなくなり、甘んじて電気ショックを受け続けるようになりました。

その後、正しく動くボタンの新しい場所に犬を連れて行き、実験を続けたところ、

  • 正しく動くボタンを経験した犬(A)は回避行動を自発的に行ったのに対し、
  • 機能しないボタンを経験した犬(B)を同じ所に連れていっても、何も行動しようとはしませんでした。

この実験は、行動主義心理学の「同一の刺激に対して、同一の行動をとる」という理論を検証をしようとし、全ての犬が同一の行動を取るであろうと推測していました。

著者A
(B)は、単にダメ犬じゃない?!

しかし、(B)の犬は、刺激に反応を示さないダメ犬に過ぎませんでした。

この実験で、セリグマンは、(B)の犬に注目し、この犬は、目の前の刺激だけに反応するのではなく、過去の経験と共に今の刺激に反応していると考え、これら一連の実験結果から、「無気力状態を学習したこと」を見つけ出し、この現象を“学習性無力感”と呼びました。

著者A
普通、Aはよしよし。Bは無視。じゃない?

セリグマンの説明

その後セリグマンは、この理論を人間の行動に当てはめて説明しました。

“学習性無力感”の状態とは、

「自分が何をしても、状況は変わらない」という考えに支配されてしまいます。

その結果、
1.環境に対する積極的な働きかけを起こすモチベーションの低下
2無力感に覆われ、自分の行動における反応についての誤った認識

3.苛立ちやイライラなどの発生、情緒の不安定化

脳科学での説明

脳科学では、ノルアドレナリンが減少し、欠乏すると、学習性無力感と同じ認知になることが検証されています。

ノルアドレナリンは、人間の「意欲、興味関心、行動力、気力」の精神的な面の活発化を促進する神経伝達物質です。ですから、これらが減退してしまうのが、学習性無力感ということです。

著者C
ノルアドレナリンは、アドレナリンの材料だから、身体も力が入らないのね。

風邪のようにありふれた病気「うつ病」

一方、うつの症状については「落ち込む」という程度しか知られていません。そして、周りから見ると、ごく普通にみえてしまう事が、さらに、不幸を招きます。

良く知られてること

うつ病の典型的な気分変調の症状は、「憂うつ感・抑うつ感・億劫(おっくう)感”で、不快な精神症状としては「不安感・焦燥感・イライラ」がさらにプラスされます。

身体的には、不眠、疲労感、食欲不振、頭痛、胃腸障害、便秘、性欲減退、関節痛、ホルモン異常等様々です。

不安感や焦燥感の源泉は、何もやる気が起きず、適切な行動ができない自分に対する自己嫌悪で、このまま憂鬱感を背負い、人生の時間を浪費することへの焦りと将来のは悲観が苛立ちを、さらに蓄積してしまう。

著者A
全て頭の中で起こってる事だから、周りからは見えないね。 風邪なら少し分かるけど

気持ちの空回り

しかし、焦燥感や苛立ちに突き動かされるように焦って何かをやろうとしても上手くいかず、気持ちばかりが空回りすることが多くなります。
問題解決につながる迅速な行動を上手く行うには、焦燥感や切迫感に駆られている余裕のない状況をまず抜け出さなくてはなりません。

その為には、一定期間以上の十分な心身の休養を取るだけでなく、休養期間に行う健康的な生活リズムの形成と定着が必要です。

さらに、「自己肯定的な自己イメージの形成」が必要になります。(セルフエフィカシーの向上)

参考リンク「あなたの自己効力感を高める」

また、うつ病の状態にある人は、事態を短期に打開しようとしたり、飛躍的な解決策を作り出そうとする事もあります。

知的能力の低下

うつ病によって心理機能全般の抑制と不活性が発生し、前頭前野の機能が抑制され「学習・記憶・思考・創造・判断といった知的能力」の停滞や低下が出てくることもあります。

例えば、いつもなら特別な努力をしなくても簡単に出来ていた書類作成や学習活動が難しくなり、具体的な問題を解決する為の思考を行う能力が低下してしまいます。

また、自分が行うべき決断ができずに日常生活に支障がでてきたり、集中して一つの物事をやり遂げるような集中力がなくなり、同日に記憶能力も著しく低下することがあります。。

「学習能力の停滞」で起こる精神状態と、うつ病に特有の認知のゆがみや抑うつ感という症状が強く結びついています。

うつ病の人や自分への自信や自尊心を著しく低下させている人は、失敗・挫折・苦痛・不幸の原因を全て「自分が悪いから・自分が無能だから・自分が怠惰だから」という「自分を原因と考える」傾向が強く、この点が、学習無力感の思考パターンと同じです。

「学習性無力感」と「うつ病」のつながり

「学習性無力感」の状況の認識の仕方、

失敗や不幸は、

「一つに止まらず、全てに通じ」

「この状況はこれからも変わることなく続く」

「その原因は、自分にある」

という思考が付加されていくと「.うつ症状」が重くなる危険があります。

アーロン・ベックは、これを「認知的三角関係(The cognitive triad)」と呼び、スキーマの一種と定義しています。

このような思考を持つ人は、私が経験した100名程度の調査で10%ぐらいの率で発見されました。

しかし、うつの症状が一二週間続くことは、誰にでもあり、それでうつ病という事にはなりません。

最も不幸な事に対して、普通の人は1ヶ月はうつ状態になります。個人差がありそれより多少長い場合もありますが、問題ありません。

ただ、そのうつ症が3ヶ月経っても半年経っても回復しない場合、うつ病と診断されます。

著者A
半年以上もうつ状態が続くと苦しいね。!

これだけ長期間、ノルアドレナリンやセロトリンが欠乏している状態が続いてしまうと、脳がその欠乏した状態を正常な状態と判断してしまっています。

そのため、認知行動療法と投薬の治療法の同時進行が理想となります。

参考:レジリエンスとコーピング

でも、ご心配なく。うつ病は「心の風邪」とも呼ばれる気分障害で、風邪のように比較的ありふれた病気です。

言い換えれば、誰がいつかかってもおかしくない発症頻度の高い疾患です。

風邪が重症化すると大変なことになるようにうつ病も軽い間に適切な処置を受けることをお勧めします。

著者A
風邪も半年続くと別の病気じゃ!

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