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ポジティブ感情とネガティブ感情の比率3:1は間違い/アップデートでは、ポジティブ感情の方が高いと効果が高い程度

2017/12/27

「ポジティブ感情とネガティブ感情の比率は3:1が良い」という事がバーバラ・フレディクソン博士の書いた本で有名になりました。しかし、これはデータ解釈が間違えていて、2015年に本人自身が「本当は1対1だった」と発表があり、多少修正があるようです。

著者
おっと!その前にネガティヴ感情に触れておきましょう。

ネガティブ感情の効能

実は、ネガティブ感情は非常に大事なものです。

ネガティブ感情は、生命危機回避の妙薬

怒り、恐怖、不安、悲しみ等のネガティブ感情のおかげで、我々人類は生き延びてきたと言っても過言ではありません。

「恐怖」があるので、危機に直面する前に逃げる事ができ、「不安」から、事に対する準備や対策を取ります。

このようにネガティブ感情は、生命を守る大事なものです。そのため、ネガティブ感情は、私達に強い影響を与えます。

進化論的には、ネガティブ感情の上手く働かない一見勇敢な種は、大自然の中で早死にし、その中で生き残ってきた私達の先祖は、ネガティブ感情の達人だったかもしれません。

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ネガティヴ感情は命にかかわる感情だからインパクトが強いのだ!
著者
それは、本能の叫びとも言える

また、身体的に、ネガティブ感情が、戦闘体制にする働きがあります。

具体的には、瞬発力を最大にすべく筋肉は緊張し、脈拍が速く、血圧が高く、呼吸は浅く、視野が狭まり、今を乗り切ろうと、今に集中する状態です。

ネガティブ感情は、モチベーションの源泉

ネガティブ感情は、私達の行動をつき起こすエネルギーの源にもなっています。

MIT(マサチューセッツ大学)のグループダイナミックス研究所の創設者とも言われるクルトレヴィン博士の1920年ごろの「心理的緊張の理論」というものがあります。

簡単にいえば、「こうしたい」というような欲望や目標を持ったとき、現状とのギャップを感じ、心に緊張感が生まれるというものです。その「心の緊張感」を解消しようと心的エネルギーが生まれるという理論です。

詳しくは、『クルト・レヴィンその生涯と業績』A・J・マロー要約を参考にして下さい。

「心の緊張感」は、「これではいかん!」「何とかしなければ」というネガティブな感情です。

ストレスの研究でも「損害」「脅威」と並んで「挑戦」が三大ストレッサーの一つに挙げられているくらいですから、身体は、アドレナリン全開のネガティブ体制になるようです。

ストレス研究についての参考リンク:レジリエンスとコーピングの違い

ポジティブ感情とは

よく間違えるのですが、ポジティブ感情は快感とは違ったものです。

快感と不快感は対となっていて、その判断基準は、本能です。いわゆる生命や種の危機に関するは、不快になります。その反対が、快感となります。快感についてはこちらの決して満たされる事の無い報酬系から

したがって、扁桃体周辺のエモーションを感じる脳が感じるのが快感、不快感です。

脳科学的には、報酬系のドーパミン等と関係した活動が快感です。報酬系ですので、より強い刺激を求めたり、依存性があったりします。

著者
快感は本能だわ!

それに対して、ポジティブ感情は、もっと高次元のもので、脳の反応もセロトニン等の副交感神経を刺激する脳内物質を分泌します。そして、この脳の状態がストレスの解消になっています。

著者
ポジティブ感情は、心身を落ち着かせ、思考や行動、可能性を広げます

感覚的には、快感と近くポジティブ感情を考えがちですが、脳の中はかなり違うようです。

10のポジティブ感情

代表的なポジティブ感情としてフレディクソンは、次のように10項目挙げています。

  1. 喜び Joy
  2. 感謝 Gratitude
    「対象は人とは限りません」
    「お返しをしなければと思うときに感じているのは『感謝』ではなく『負い目』です」「感謝は〜心からそれを楽しみます」
  3. 安らぎ Serenity
    「安らぎは喜びよりもずっと地味な感情です」「ほかのポジティブ感情が収まったあとによく現れる」
  4. 興味 Interest
    この感情は努力と集中を要求します「興味を持つと、心は広がっていきます」
  5. 希望 Hope
    「ほかのポジティブ感情が、安全で満たされた状態で生じるのに対し、希望は例外です。すべて思い通りに運んでいれば、希望を感じることはあまりありません。希望は状況が非常に悪いとき、ものごとがうまくいかないとき、結果が非常に不確定であるときに生じます。絶望や失望を感じてもよさそうな状況で現れます」「希望の感情の核心には『状況は変わり得る』という信念があります」「希望のおかげで絶望に押しつぶされずに済みます」
  6. 誇り Pride
    良いことの『責任』を引き受ける」「誇りは思想を広げます。誇りを感じると、同じ分野でさらに大きな成功を目指そうと考えます」
  7. 愉快 Amusement
    「愉快という感覚は社会的なものであること=人と分かち合いたいと感じる」「意外性は安全な状況のなかにあってのみ愉快だということ」「人と一緒に笑うのは、今の状況が安全で屈託がないこと、相手との絆を深めたいと思っている、ということ」
  8. 鼓舞される感情 Inspiration
    「奮い立つような感情がわいて、意識はくぎつけになり、心が熱くなります」
    憎しみ』『ねたみ」」「人の素晴らしさに出会ったときに、どう反応するかはその人しだい」
  9. 畏敬 Awe
    「鼓舞される感情と近いのですが、もう少し規模の大きい素晴らしさ(大自然など)に出会った時に感じるもの」「偉大さに圧倒され、自分自身の小ささを感じて謙虚になります。見た瞬間に身体がこわばり、足が止まります」「安全の限界近くに位置する事もあるため、ときにかすかなネがティビティも感じます」「畏敬はまた、人を協力でカリスマ的なリーダーに感情的に結びつけることもあります。そのリーダーが実際よりも偉大に見えてしまうのです」
  10. 愛 Love
    「10のポジティブ感情のすべてを含み、その上に位置する感情」「瞬間的な心の状態」「『関係』を定義するものではなく、波のような感情の高まり」「親密な関係は『反復する愛の波』が作っている」

「ポジティブな人だけがうまくいく 3:1の法則」からの引用

そして、次のようなことを考えるよう促しています。

「最後にこの感情を覚えたのはいつだったか」
「どこで何をしていたときだったか」
「ほかにどんな時にこういう気持ちになるか?ほかにもきっかけはないだろうか」
「この感情を増やすために何ができるだろうか」

「どのようなところに、きっかけがあるか」を考えるのが大切だそうです。

確かに、感情だけを記憶することはできません。映像やイメージを記憶し、それを再度思い出すときに、感情を再度発生させることで、感情を記憶するしか手段がありません。

ネガティブ感情の場合は、これが最も簡単にできるようになっているのですが、ポジティブ感情の場合は、意識して行わないと脳には定着しないようです。

ポジティブ感情の効能

ポジティブ感情はネガティブ感情のような刺激的なものでなく、淡く、直ぐに消え去りそうな曖昧なものです。しかし、その効力は大きなものがあります。

具体的には、ポジティブ感情によってセロトニン等の脳内伝達物質の分泌によって、ネガティビティを解消し、心身共に、落ち着いた状態になります。

その結果、視野が広がり、より全体的な構図が見え、今の状態を正確にとらえられるようになります。そして、物事の良い面にも焦点を当てるようになり、行動の範囲も自然に広がり、それが、自らの可能性を広げて行くことになります。

また、別の研究では、創造性がアップするというものもあります。

ポジティブ感情は、ストレス解消に極めて有効です。

よくゲームやスポーツ観戦をしてスッキリ経験をしますが、このようなドーパミンやアドレナリンを放出して報酬を期待させる方法は、あまりストレス解消になっていません。

ほんとうに効果のあるストレス解消法は、ポジティブ感情が発生する事によるセロトニンやアミノ酪酸などの脳内伝達物の分泌によるものです。これらは、脳のストレス反応を打ち消し、体内のストレスホルモンを減らして治療反応やリラクゼーション反応を起こしてくれます。

しかし、例えば「感謝」の気持ちが高まった場合でも、ドーパミンが放出されたときのように興奮しないため、どんなに気分がよくなったかは、はっきりとは気づきにくいものです。

ポジティブ感情とネガティブ感情の比率は1以上:1

ポジティブ感情とネガティブ感情のバランスは、ポジティブ感情が1以上必要ですが、何時もこの比率が求められている訳ではありません。

バランスという意味は、常に半々ということではなく、ある時はネガティブ感情で支配されることもあれば、また、ある時は、ポジティブ感情で心身共ににリフレッシュする柔軟性が必要だということです。

そして、全体的に見た時、ポジティブ感情がネガティブ感情より高いと効果が大きいということです。

2013年7月にフレディクソン自身がアメリカ心理学協会のサイコロジストに「ポジティブ感情のアップデート」という題で訂正していました。

付録

ポジティブ組織論のキム・キャメロンの調査で、生産性が高い組織の職場や会議で交わされる会話のポジティブとネガティブの比率は、3〜4:1であったというものがあります。

このあたりは、個人と組織や集団とでは違うようです。

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