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損失回避最大化を目指すのが人間:プロスペクト理論

2017/12/27

ダニエル・カーネマン博士シリーズ。今回は、1979年発表のプロスペクト理論です。

このプロスペクト理論の凄いところを理解するためには、従来の限界効用理論(1870年代)を知る必要がありますね。まずは、そこから。

従来の消費者行動の理論

この19世紀にできた限界効用理論は、近代経済学の基礎となっています。

要は、「人は、どのように思考して物を買うか」という思考を説明しています。

スポーツをして汗をかいた直後に、一杯のビール(水)を目の前に出されたとします。

この一杯目のビールの美味しさは何物にも代え難いものです。

この「美味しさ」が「効用」です。

では、二杯目の美味しさは、一杯目と比べてどうですか?

美味しいですが、一杯目と比べると数段落ちますね。

この一杯あたりの美味しさ(効用)を「限界効用」と呼びます。

最小単位の増加に伴って発生する効用を限界効用と呼んで、ビールの一杯目と二杯目では、限界効用が低減したという事になるわけです。

そして、一杯目の冷えたビールを出された時に、同時に暖かなコーヒーを出されたら、あなたは、どちらを選びますか?

汗をかいた直後の状態であれば、間違いなく冷えたビールを選ぶことでしょう。

これは、冷えたビールの方が暖かなコーヒーより限界効用が大きいから、あなたはビールを選んだという理屈建てになります。

では、寒い日に帰宅したあなたなら、どちらを選びますか?

「ビール」という人もいるかもしれませんが、暖かなコーヒーと迷う人もいるかもしれません。これは、限界効用が二つとも同じ時に「迷う」と説明しています。

これをあらゆる消費活動に当てはめ、最も限界効用の大きいものに、自分のお金を消費するという合理的判断を前提として今の経済学が構築されています。

カーネマン博士は、この理論では説明できない点を新たに理論構築したのです。発表からノーベル賞受賞まで20年以上かかっていますが、理論の価値が認められたという事でしょうかね。

プロスペクト理論とは

①今百万円を確実にもらえるクジと②一年後に50%の確率で二百万円もらえる(50%は0円となる)クジと、あなたなら、どちらを選びますか?

限界効用理論で言えば、この二つの期待値は同じ一万円です。ですので、迷ってしまい意思決定無しです。

しかし、カーネマン博士の実際の調査では、「①今百万円を確実にもらえるクジ」を大半の人が選んだそうです。

プロスペクト理論の人の同じ期待値における選択ルールは、「利益の前では、確実に取れる利益を取る」というものだそうです。

一方、今、二百万円の負債があるとします。①クジを引かなければ、無条件で負債が100万円減額されますが、負債総額が100万円となります。

②クジを引いて、当たり場合、負債が全額免除されます。しかし、ハズレの場合は負債総額は変わらないとします。

あなたなら?

この場合の多くの人が、②を選ぶそうです。

選択の理屈は、「負債が免除される可能性に賭ける人が多い」というものです。

損失回避が選択の原理

既にお分かりのように、損失=ネガティブで、利益=ポジティブですから、ネガティブの方が人間に大きなインパクトを与えます。

したがって、人は「得られる物」よりも「失う恐怖」の方が大きいのです。

損失回避のためには、どんなリスクも負うのです。「人て面白な」と感じますね。

このように、「得をするか損をするかで価値の感じ方が異なってしまう」という考えがプロスペクト理論です。

人は、条件を変えると行動を変えてしまうように一見、見えるということです。

しかし、この二つの状況の共通の思考の原理は、損失回避です。

要は、「損しないを最大化する」ということです。

上の利益を得るクジの1問目の質問では、①は百万円獲得ですが、②だと0円になる可能性があるので、①を選択。

2問目の①は確実に百万円の負債。②は、負債0円になる可能性があるので、②を選択。

負債百万円がどうしても嫌で、負債0円にかけたくなるのですね。

人は得られる物よりも失う恐怖の方が大きいのです。

これは、マイナスに感じた時の方が、ドーパミンが出やすく、スイッチが入りやすいということです。

ドーパミンの働きについての参考リンク:決して満たされる事の無い報酬系

ギャンブルで負け始めると、取り戻そうとして、さらにギャンブルにのめり込むのは、このパターンにハマっています。

また、「この商品は、限定50品だけです」という「限定セールス」も、失ってしまうことを訴求したやり方です。

なぜビジネスで希少性(限定性)を使うか理解できますね。

でも、少し深刻に考えると、自分の人生の満足感をマイナスに感じたら、同じ反応をするかもしれません。

昨日より、周りの人から冷たくされ、それも多くの人から、と、感じる、うつ症的な日は、それを取りもどそうと、変なことをするかもしれません。

しかし、それは、正常な反応なのです。

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