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認知心理学

子供のうつの症状は大人から見ると「ダメな子」に見えてしまう。でも、病気だから支援が必要

2017/12/27

子供のうつ病はほとんど大人に気づかれていないのではないでしょうか。

何故なら、子供のうつの症状は、ダメなだらしない子供の典型的な行動パターンと同じに見えるからです。

うつ症の子供に、親や教師が叱ってプレッシャーをかけると、どんどん悪化します。

もし、下記のような「病気まではいかないけど少し不安」を感じるときは、「甘くしなさい」ということで無く、「いつも応援してるよ」という気持ちを示すことが大切です。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="ke.jpg" name="著者B"] あなたを何時も応援してるの。[/speech_bubble]

何故なら、小さな子供から、高校生ぐらいまでの年代には、恐怖を植え付けること無く、緊張感が、躾けや学習のために必要です。そして、さらに、「恐怖」を打ち消す事ができる「安心感」や「安定感」が非常に大事だからです。

[speech_bubble type="think" subtype="R2" icon="kf.jpg" name="著者B"] 子どもの安心感、安定感。でも、躾も大事[/speech_bubble]

目次

子供のうつ症状はダメな子

「子供でも、うつ病になる?」と思う人もいると思いますが、小学生の約8%、中学生の役20%強が強い抑うつ状態を示しているという調査もあります。

さらに、10歳から15歳まで、死因トップ2が「自殺」です。そして、16歳から39歳までは死亡原因のトップとなっています。(厚労相平成26年人口動態統計より)

子供のうつの症状は、大人と違った身体症状や行動の変化があります。

大人の症状についての参考リンク:落ち込んだときのために、認知行動療法「コラム法」の実践を分かりやすく紹介します

しかし、その行動は、「朝寝坊、グズグズと、宿題をしない、学校に行きたがらない、成績が下がる、友達ができない、家に閉じこもる」というもので、一見、ダメな子供に見えます。

体調が悪いと言うので、学校を休ませて、病院につれて行くと何も悪いところがなくて、「仮病?」と思われて、問題児になってしまいます。

行動や身体の症状

  • 落ち着きがない
  • いらだたしくなる
  • 集中できない
  • 物事への関心を失い、楽しめなくなる
  • 意味のない行動を繰り返す
  • 行動の速度が遅くなる
  • 毎日繰り返す同じ行動ができない
  • 責任を果たせない
  • 成績が落ちる
  • 食欲がない
  • 体重が減ったり、体重が極端に増える
  • 成長曲線に合わせて体重が増加しない
  • 眠れない
  • 朝起きれない
  • 体の痛みなどの症状
  • 吐き気、頭痛、腹痛

ただし、うつ病の子供の中には、過渡に活発になったり、攻撃性を見せたりすることもあります。日ごろの状態とよく比較しながら判断するしかありません。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="kodomo2nin (2).jpg" name="さと"] 上手く言えない[/speech_bubble]

この原因は、子供は、言葉で自分の感情、特に複雑な感情の憂鬱感を表現するのが未熟なためです。

子供は憂うつな気分を悲しいというよりは、イライラで表現することがよくあります。小学生のころなら嫌な気分としか感じませんが、思春期になると孤独感や自己否定感を生じ、深刻な問題になりがちです。

とにかく、子供のうつ病は発見しにくいものです。

学校に行くのがつらくなる、それまで仲のよかった友人と遊ばなくなる、今まで楽しかったことが苦しいと感じている、また、朝起きられない、夜眠れないなど生活に支障をきたしているときも、注意が必要です。

[speech_bubble type="think" subtype="R1" icon="kodomo2nin (3).jpg" name="さとみ"] 楽しくない。起きれない[/speech_bubble]

これらの行動が2週間以上続いている時は、内科ではなく、精神科か心療内科の専門の医師の診察を受けた方が良いでしょう。

子供のうつ病のきっかけ

子供のうつ病の発症の仕組みは大人と同じです。

脳内の感情を調整する働きを持つセロトニンやノルアドレナリン等の減少により感情のコントロールがうまくいかなくなる要因と、過度のストレスや生活環境の変化がうつ病発症のきっかけとなります。

子供のうつ発症のきっかけとなる出来事

  • 進学、転校、受験、引っ越し等の環境変化
  • いじめ
  • 両親の離婚、親の病気、単身赴任
  • 事件や事故、災害の経験
  • 喪失体験 身近な人の死、ペットの死
  • 先生や親からのマイナスの評価を繰り返し受ける
  • 受験等他者から評価を受けるストレス
  • 失敗体験
  • 納得いかないことで叱責される
  • 我慢することの多い養育環境
  • 虐待の経験

子供の場合も「真面目で頑張り屋さん」な性格の子がうつ病になりやすいのですが、そのような性格的な特徴よりも、上記のような「育つ環境」「しつけ」「乳幼児期の喪失体験」といった実体験の積み重ねの方が、子供のうつ病を発症する誘因となりやすいと考えられています。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="kao.jpg" name="著者"] 環境が第一ですね[/speech_bubble]

[speech_bubble type="think" subtype="R2" icon="ke.jpg" name="著者"] でも、家族のせいではありません。[/speech_bubble]

特に、子どもは、親や友達との関係が原因でうつ病になるケースが多いものです。

親が自分をどう思っているか、友だちから受け入れられているかが、子どもの自尊心に影響してきます。些細な出来事が大問題に発展することもあります。

治療の方法

もし、子供がうつ病と診断されたら、休養と投薬、心理療法、家族にサポートが必要になります。

休養

うつ病にかかった子供は、心と体が疲れきっています。何より十分な休養が大切です。

学校を休む必要がありますので、親も子供も理解しましょう。

学校を休むことは、子供も親も罪悪感をもちやすいものです。また、学力低下を不安にも思うでしょう。しかし、きちんと回復するためには休養も大切な治療の1つです。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="kodomo2nin (2).jpg" name="さと"] 罪悪感が…[/speech_bubble]

[speech_bubble type="think" subtype="R2" icon="ke.jpg" name="さとママ"] 休みが必要なの![/speech_bubble]

子供のうつ病は「何もできない」ということはほとんどありません。ルールを決めて、遊ばせたり、家の手伝いをさせてもよいものです。

しかし、何かに打ち込ませたりするのは、よくありません。

習い事や塾も休ませます。

気分が晴れるだろうと、激しい運動を続けさせたりするのも、休養にならないので良くありません。

また、気分転換にと連れ回すのも良くありません。

基本的に家でゆっくりさせたり遊ばせたりして、親はあまり干渉しないで見守るようにしましょう。

薬の服用

子供のうつ病の治療にも薬の服用が有効です。

薬には辛い症状を和らげる効果があります。薬は抗うつ剤を中心に、精神安定剤、抗不安剤、睡眠薬などを使います。

抗うつ薬は、人格を変えてしまうような働きはありません。安心して下さい。

ただ、人によっては副作用が出る場合がありますので、良く医師から話を聞いておきましょう。

また、症状がいつどのように軽減したのか、どんな副作用がいつどう現れたか、薬の効果や副作用の情報は、薬物療法を進めるために重要です。

毎日の生活の様子、「笑うようになった」「食欲が出てきた」などの変化を、子供や親が主治医に伝えるようにしましょう。

服用した抗うつ剤に効果があるか見極めるには、最低でも4週間から6週間は経過観察する必要です。

もし、効果が見られない場合は、医師の指示のもと、薬の量を増やすか別の薬に変えたりします。

自分の判断で投薬を辞めないにしましょう。

心理療法

子供のうつ病を治療するときに重要なのが、心理療法です。支持的療法や認知行動療法などが主に行われています。

(心理療法も精神療法も同じ事を指しています)

心理療法では、物事の考え方などのゆがみを改善していきます。

医師やカウンセラーとの対話を通じて、子どもの心理面の変化を促し、うつ特有の否定的な考えの修正をはかります。

医師や臨床心理士、カウンセラーなどと心理的な問題を話し合い、考え方や気持ちの整理をするとともに問題解決をはかるのが心理療法です。

心理療法では、本人が自分に起こっている問題を話します。話すこととでうつ気分が軽くなることもあります。

ですから、心の傷をあばくようなことはしません

医師や臨床心理士は、子どもの心の問題をともに考え、つらさを共感しようとします。そして、薬や休養の必要性を子どもが理解し、前向きに治療に取り組めるようにサポートします。

話をすることで、相手が自分を理解してくれていると感じることを大切にしています。相手を信頼したうえで、話を続けるようにします。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="kodomo2nin (3).jpg" name="さとみ"] この先生、私の事分かってくれてる[/speech_bubble]

心理療法によって、すぐにうつな気分が解消されるわけではありません。心理療法は、信頼関係を築きながら、一歩一歩積み上げていくものです。

薬物療法は比較的早く効果が現れます。心理療法は効果が現れるまで、ある程度時間がかかりますが、この併用が大事です。

話したくないことは話さなくてよいです。特に治療開始の頃は、緊張などで上手く話せないものです。子どもも親も最初から何でも話そうと気負わず、話せることを話すだけでよいのです。

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="kao.jpg" name="著者"] 話せる事だけで良いのです[/speech_bubble]

家族の支援

うつな気分を自分の心に中に閉じ込めておくと、つらくて孤独な気持ちをより強くさせてしまいます。

うつ病でつらい思いをしている子供の気持ちに共感し、いっしょに治していく思いを伝えましょう。

自尊心が低下している子供には、どんな言葉をかけるかが大切です。親自身がマイナス思考だと、負のスパイラルに陥ってしまいます。

負のスパイラルによる大惨事思考参考リンクはこちら

子どもが「受け入れてもらえる」「必要とされている」と実感できるようにサポートしましょう。

子供のうつ病の治療において、親が果たす役割は大変大きいものです。親が子どもの状態を理解し、治療方法に納得した上で取り組みましょう。

発症期の支援

まるで心が枯渇しているような状態。この時期は、子供だけでなく、親も不安な時期です。

しかし、その親の不安は、子供をさらに不安にします。気丈に振舞いましょう。

  • ”カラ元気”でもいいので、子供の前では元気に振る舞う
  • 勉強道具や習い事の道具など、子供の目に入ると焦るようなものは片付ける
  • 何かに打ち込んだりさせず、ゆったりとしたぼんやりとした時間を過ごさせる
  • 強い抑うつ感から自殺を図る可能性がある。自傷行為も起こしやすい時期なので、注意深く見守る
  • 子供に対して愛情を示す。「いつでもそばにいる」「死にたいなんて言われたら悲しい」など

[speech_bubble type="think" subtype="L1" icon="kao.jpg" name="著者"] 親自身が元気を見せないとね[/speech_bubble]

回復期の支援

体調の回復に伴い、心も回復していきます。「治った」と思いがちですが、まだ精神面は不安です。

  • いっしょに遊んだり、本を読んであげるなどして、子供がリラックスできるように心がける
  • 薬の服用を子供が勝手にやめないように気を配る
  • 食事をいっしょにとるなど、コミュニケーションを多くとる
  • 受験や進学、退学などの大きな決断は治療中は保留にする
  • 子供が復学を焦る場合、主治医と相談し、必要なら子どもにブレーキをかける
  • 家の中でできることをはじめ、徐々に活動の幅を広げていく

維持期の支援

心がほぼ回復した状態。まだ、フルに授業を受けると疲れてしまうことも多く、症状のぶり返しに注意が必要です。

  • 学校は午後から参加したり、1~2日おきに通学したりするなど、「ならし運転」からはじめる
  • 友達と遊ぶなど、できることから日常生活に戻していく

家族の方へ

うつ病にしてしまったのは私のせいだと悩まないようにしましょう。うつ病は家族の方のせいでなるわけではありません。うつ病を理解し、子供と良い関係を築きながら、ゆっくり治療していきましょう。

子供のレジリエンストレーニング

レジリエンストレーニングの対象は、うつ病で無い人、いわゆる健常者です。

ポイントは、悲しみや嫌な気持ちを長く引っ張らないで一時的なものとして処理する方法を修得すことです。

子供向けのレジリエンストレーニングは、10〜14歳位が適しています。

また、この時期のトレーニング効果は、一生続くとも言われています。

また、親子でのトレーニングプログラムも効果的です。

チャンスがあれば、ワクチン投与のつもりで受講をお勧めします。

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