アダルトチルドレン/インナーチャイルドを鎮める
2017/12/25
アダルトチルドレンは、まだ脳科学では、説明されていませんが、臨床では、たくさん報告があり、一つの理論として体系化されています。
ただ、医学的な症状としては、アダルトチルドレン(AC)というものはありません。
その理由として私の意見は、疾患と言うには、軽いのでしょうね。あくまで比較論で、主観的苦しさと関係ない説明です。
その症状が、社会生活に支障をきたして医学的症状として、うつ病とか、パーソナリティ障害、パニック障害のようにならないと「病気」と認知され無いのでしょう。
まずは、理解のために、インナーチャイルドの説明から
目次
インナーチャイルドとは
インナーチャイルドは、「内なる子供」と言われているものです。
子供の時に、何らかの理由によって「本来の自分」が押さえつけられる事で、心の一部分が抑圧され、「内なる子供」の部分が成長できないまま年代が過ぎて大人の現在に至るというものです。
その結果、精神的な不安定や社会的不適応を引き起こすリスクを抱えていることを、「アダルトチルドレン」と総称します。
この説は、抑圧がベースにあるので、フロイトの説に通じるものがありますね。リンクはフロイトについてどっぷりはこちらから
さらには、アーロン・ベックの「認知の歪み」にもつながっています。アーロンベックについてはこちらから
インナーチャイルドができる原因
インナーチャイルドは程度の差こそあれ、誰もが持っています。
では、どのように傷つくことで、インナーチャイルドが、大人の中に潜むようになるのでしょうか。
例えば、あなたが子供時代に両親が共働きで、いつも夜遅くまでひとりぼっちだったとします。
夜さみしく毎日過ごして、「もう慣れたと」と考えようとしても、心の中の本当のあなたは心の中で「早く帰って来てほしい」と思っています。
そして、親が帰って来たとき、それを言おますが、その一方で、心の中の理性的なあなたは、「そんなこと言ったても『仕事だから』と言われるだけだ」と考えてしまい、その言葉を、心の中にしまい込んでしまいます。
こうして、「本来の自分」が「理性的な自分」に抑えつけられるという状況に置かれると、子供のままの心情、感傷が抑圧された心の中に残り、インナーチャイルドが傷ついてしまうのです。
よく、ACは、機能不全家族による家庭内の問題が原因とされますが、必ずしも、それだけとは、限りません。子供が他者と関わること全てにおいて、インナーチャイルドが傷つく原因となり得るものです。何の問題もない家庭で育ったという人も、他の原因で傷ついてしまう場合もあります。
アダルトチルドレンとは
そして、そんな子供の心が癒されることなくインナーチャイルドとして抱えた大人が、通称「アダルトチルドレン(AC)」です。
アダルトチルドレンの何が問題かというと、小さい時に傷ついたインナーチャイルドによって、現在の思考や言動に「歪み」を及ぼし、人生の様々な局面で「上手く対処できない」ということが現れてくる事です。
傷ついたインナーチャイルドを抱えているということは、過去の心の傷が癒やされず、子ども時代に我慢した気持ちがそのまま記憶され、自分でも理解できない心の不安定さを感じてしまうのでしょう。
例えば、
- 自分の思っていることを人に伝えられない
- 人に甘えたり頼るのが苦手
- 我慢しすぎてしまう
- いい子を演じてしまう
- 集団が苦手、目線が怖い
- 質問に完璧に答えようとしてしまう
- 冗談が言えない
- 感情を表現するのを恐れてしまう
- NOと言えずに断ることに罪悪感を感じてしまう
- 愛情を素直に受け取れず、ひねくれる
- 恋愛に混乱したり、動揺し過ぎてしまう
- 自己犠牲を厭わない
- 自分はそもそも価値がないと感じてしまう
- 気持ちをなだめるのに何かに依存しすぎる
その他に、衝動的な行動、依存的な行動、漠然とした不安感、脅迫観念、無気力感や、それに伴う身体的な不調や症状を慢性的に引き起こしたりします。
あなたが、昔、傷ついた原因は?
インナーチャイルドができた原因を探ってみましょう。
インナーチャイルドは幼少期に「理性的な自分」に「本来の自分」が押さえつけられる事で傷ついたのです。
インナーチャイルドが傷つくきっかけとなった出来事がないかどうか、自分の記憶をなぞってみましょう。
- 傷ついたこと、ショックだったこと
- とても印象に残った事
- 本当は○○したかったのに、○○せざるをえなかった事
- 本当の感情を押し殺してしまったこと 他
過去をなぞるように振り返ると、色々な記憶が思い出されることでしょう。
ひとつひとつを紙に書き出して、その中でも最も「今の自分」に影響を与えていると思われるものを選んでみましょう。
それでも、つじつまが合わないことは多々あります。
記憶そのものが薄れて曖昧とか、わからないということもあります。
根気よく探っていくとが必要で、これがそうかもしれないと 「しっくりくる」ものが必ずあります。
ただし、出来事に関する嫌悪が強く、身体が反応する場合(震え、発汗、吐き気等)や、詳しく思い出したくない場合は、無理に出さないようにしましょう。(これ重要!)
出来事のヒント:
家庭内暴力 ・ 虐待 ・ 両親の不仲 ・ 過保護 ・ 過干渉 ・ 期待の押し付け ・ 世間体の優先・ 厳しいしつけ ・ 無視 ・ 兄弟姉妹との比較・ 愛情の隔たり ・ 不在がちな両親・ 片親 ・ 幼少期のスキンシップ不足 ・ 大切な人達との感情の共有不足 ・ いじめ ・ 仲間はずれ ・ 裏切り ・ 人格否定 ・ 肉体的欠陥の指摘 ・ バカにされた ・ 挫折 ・ 期待されなかった など
多くの場合、子供にとって、はじめて他の人間と関わることとなる家庭内や学校、公園デビューを含めた交友関係での出来事が原因となります。
注意すべきなのは、虐待や家庭内不和などわかりやすいものだけが原因というわけではないという点です。
大人からみれば大したことのない出来事だとしても、本人にしてみれば大変ショックだった事や印象に残ることでインナーチャイルドが傷つくことがあります。
また、マイナスの事だけが原因とも限りません。過保護や過干渉などが原因になることもあります。
家庭内で原因が思い浮かばない場合、幼稚園や小学校での出来事も思い返してみましょう。
当時の気持ちをトレース
インナーチャイルドが傷ついた出来事がわかったら、次はその時の自分をシーンを見るように再現してみます。
・その時、何が起こったのか
・その時、自分は、どんな気持ちだったのか
・その時、自分自身は本当はどう考えていたか
ここで重要なのは、ビデオを再生するように、映像を思い出し、その時の感情を 「ありのまま感じる」ことです。
当時のことを思い出すとき、あなたな自身に理由づけや自己嫌悪をするかもしれません。
「状況が状況だけに仕方なかった」「運が悪かったんだ」「あの時は私が原因を作ったから」「今にして思えば大したことない」などです。
このような理屈付け自体で、あなたの満たされなかった思いを、理性がなんとか補填しようとしています。これがアダルトチルドレンの症状です。
この理屈付けに頼ってしまっては、いつまでもインナーチャイルドが癒やされることはありません。
まずは、その時の自分の正直な気持ちを感じ、一旦受け入れましょう。
さあ、もう一度、シーンを回想して見ましょう。
出来事が起こった時、あなたはどこで、誰と、何を話しましたか?どんな事をしていましたか?傷ついた瞬間は、どんな事が起こりましたか?あなたはどんな気持ちで、どんな表情ですか?
そして一番大事なのは、「その時あなたが、どう考え、本当はどうありたかったか」です。
その満たされなかった気持ちこそがインナーチャイルドの傷である可能性が高いのです。今のあなたがそこをしっかり認識することが、インナーチャイルドを癒すための重要なポイントとなります。
うまく整理できないという人は、文章にして書き出すことをお勧めします。
第三者にうちあけるような文章でもいいですし、箇条書きのように簡単な文でも、かなりの長文になってもかまいません。
ただ、気持ちを省略したり、余計な解釈をつけようとせず、ありのままの気持ちをさらけ出すように書くのがコツです。
インナーチャイルドの感情を開放して鎮める
次は、傷ついたインナーチャイルドを癒します。
あなたのインナーチャイルドに大人になったあなたが寄り添い、回復へと導きます。
この手法は、行動療法と同じです。
インナーチャイルドが傷ついた出来事を思い返した時、ずっと抱えていた感情に気づいたことでしょう。
このときの訴えをじっくりと聞いてください。そして、感情を共感することで開放しましょう。
例えば、
悲しさを感じたなら、充分に悲しみます。
泣けるのであれば思い切り泣きましょう。
怒りを感じたなら、吐き出しましょう。(ただし、発散する時は、安全な方法で)
インナーチャイルドには、大人になったあなたの助けが必要です。大人になったあなたが、無力だった過去の自分の保護者となるのです。
傷ついたインナーチャイルドは、あなた自身ですが、傷ついたまま時間が止まっている子供の頃から人格で、過去のあなた自身です。
本物の子供に接するように寄り添ってあげてください。人によっては子供扱いを嫌がるインナーチャイルドもいるので、そこは個人にあったやり方で接っすることも必要です。
インナーチャイルドとの対話
過去の自分(自分のインナーチャイルド)をうまくイメージできないという人は、架空の自分の子供をイメージしてもいいかもしれません。もし自分の子供が自分と同じような目にあって傷ついたらと考えてみましょう。
傷ついたインナーチャイルドに対し、どう接していいかわからないという人もいます。そういう時は、ただ抱きしめる事をイメージしてみましょう。難しい事を考えず、抱きしめるだけで効果があります。
インナーチャイルドに寄り添い、感情を開放していくことで、傷は次第に癒やされていきます。
回復には時間がかかる場合もあり、良くなったと思ったら、また元に戻ったと感じることもあります。
じっくりと時間をかけて、インナーチャイルドを安心させてあげる必要があります。
インナーチャイルドの傷が癒やされてくると、今までネガティヴな感情で占領されていた心が軽くなり、心的エネルギーに満ちあふれてくることでしょう。