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脳科学

決して満たされる事の無い報酬系:ドーパミンの脳での働き

2017/12/06

今回は、快感をもたらすドーパミンの話です。以前、ポジティブ感情の話の中で、「脳内伝達物質のドーパミンの関係する快感は、セロトリンを分泌するポジティブ感情とは異なる」ということをふれました。ポジティブ感情の参考はこちら

 

著者A
ドーパミンの快感はポジティブ感情じゃないぞ!

著者B
じゃ、ドーパミンの快感て何?

もう少し詳しく脳科学で整理し、報酬系のドーパミンの働きや他の脳内伝達物質について話します。

参考リンク:ポジティブ感情とネガティブ感情の比率3:1は間違い/本当は1:1

脳の中心部でドーパミンが働き始める

脳の真ん中のちょっと下で、脊髄と脳を結びつける所に、脳幹があって、その上部に大脳基底核があります。

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大脳基底核あたりでドーパミン達が働きます。

脳の構造をシンプルに理解

人間の脳は、中心部から表面に向かって、古皮質/旧皮質/新皮質となります。

古皮質-昆虫の脳

最も古い脳で、古皮質は、「反射脳」とも言われ、生物としての基本的な機能・反射的な運動を司ります。上図では大脳基底核の下あたりにある脊髄と脳をつなぐ神経の束です。

脳幹・間脳を指し、呼吸、心拍、食欲等を自動調整し、反射的な運動の命令を筋肉に送るなどの働きをします。

昆虫にもある脳だそうです。

旧皮質-動物の脳

旧皮質は、本能的活動や原始的感情(エモーション)を司ります。

古皮質だけだと、状況に関係なく身体の条件によって作動しますが、この旧皮質のおかげで、外的な環境の変化にもとづいた対応を生命維持のための活動ができます。

この生命に危険がせまる(と感じる)と不快なり、それ以外は快感となるエモーションが発せられます。

まあ、本能の脳ですね。

大脳辺縁系(扁桃核、帯状回、海馬、乳頭体)を指し、食欲、性欲、 怒り・不安などのエモーションや学習・記憶に関係する働きをします。

新皮質-人間の脳

新皮質は、言語、思考、空間把握、芸術など高度な精神活動を行います。

最も有名なのは、前頭葉です。

このあたりの身体の反応やエモーションの働きについての脳のメカニズムは、下記リンクを参考にして下さい。

脳のミカニズムを知らないとレジリエンスは高められない

その瞬間!脳がハイジャックされ、感情に支配される

ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの関係

ドーパミンは、快感を与える脳内伝達物質です。詳細は、下に記載していますが、「アドレナリンと言う名前も良く聞くよね?」という疑問について先に話します。

ひとつの脳内伝達物質には、プラスとマイナスの二面性がありますので、下記の説明は単純化しています。

ドーパミン

著者
ドーパミンがスイッチを入れる

「あ!こんな事したい」「もうすぐ、〜が手に入りそう!」と思った時に、ドーパミンが分泌され、「胸がときめき」ます。

ドーパミンは、人間が能動的な活動を行う必要があるときに分泌されます。

要は、精神と身体にスイッチを入れる脳内伝達物質です。

実は、胸がときめいた時は、同時に、身体にストレスをかけます。

ノルアドレナリン

著者
ノルアドレナリンがハイにする!

そこで、、ドーパミンが変化して「ストレス対処」のためのノルアドレナリンが分泌されます。そして、来たる緊急自体の「勝負するか回避するかの判断」をおこなうために、集中力や学習力を高め、血圧を上げて身体の準備を始めます。

要は、ノルアドレナリンは、ハイテンションな状態を作るわけです。

アドレナリン

著者
アドレナリンが最後に身体能力の最大化をつくる!

さらに、判断したあと、ノルアドレナリンが変質してアドレナリンとなり、それが分泌されて、心拍数や血圧を上げ、瞳孔を開きブドウ糖の血中濃度を上げます。まさに、勝負時の身体をつくります。ただ、相手が強すぎる(環境も含め)場合は、逃避にそのエネルギーは使われますけどね。

アドレナリンは、身体能力を最大限にするように働きます。

これら3つは、活動系の代表のような脳内伝達物質で、ドーパミンが材料になりノルアドレナリンができ、また、それを材料にアドレナリンができていきます。

ドーパミンの働き

ここからは、報酬系と言われるドーパミンを中心に話します。

ドーパミンが分泌すると快感が与えられると言われていて、一度経験した快感を海馬で記憶させ、再びその快感を得るためのモチベーションを高かめます。

しかし、徐々に快感に脳が慣れて麻痺してきます。そのため、さらに効果的に快感を得るために学習し、その行動をレベルアップさせようとします。

ドーパミンは、人を活動へと駆り立てる働きをしていますが、、満足を与えてくれはしません。

著者
ドーパミンは人を活動へと駆り立てるけど、満足は与えない!
著者
ドーパミンの快感はいつも不安と一緒なんだ

満足を与えてくれるのは、エンドルフィンという脳内伝達物質で、「気持ち良い」という快感を与える物質です。脳内麻薬と言われ、モルヒネの数倍の鎮静効果があります。ランナーズ・ハイを起こす分泌物で有名です。

エンドルフィンは、ドーパミンが出すぎたときに相殺する様に分泌されますが、これが過剰になると、満足してしまい活動は停止してしまいます。

話をドーパミンに戻します。主な働きは、以下のようなものです。

  • 快感の付与
  • 意欲とモチベーションの向上
  • 物事への執着
  • 学習能力の向上
  • 記憶力の向上
  • 集中力の向上
  • 疲労感の減少
  • ストレスに対する耐性

ただ、ドーパミンは、エモーションに働きかけますから、その分泌によって冷静さを失います。例えば、あるものを「欲しくてたまらない」といった差し迫った感情です。

ドーパミンが分泌される二局面

ドーパミンは、快適を感じるときだけでなく、不快なものに反応するときも分泌されます。

ジェットコースターやバンジージャンプが大好きな人を見かけますが、これは、恐怖によってドーパミンが分泌されるため快感を感じているのです。

恋人関係の「ツン、デレ」も、ドーパミンのダブルパンチですね。

このときの「ツン、デレ」を受ける相手の脳の反応は、

恋人
ストレスや不安を与えられる(ツン)
著者
ストレスによって欲求が生まれる

恋人
フン

著者
[恋人を見るだけでドーパミンによって刺激される

著者
不安にかられた本人はストレスを解消法しようと、恋人に働きかけ、近づこうとする
恋人
恋人から優しくされる(デレ)
著者
期待が高まりドーパミンが分泌される
恋人
恋人にストレスや不安を与えられる(ツン)

これでは、満足できなくても、離れられなくなりますね。

もっとも、糖質や薬物、たば、アルコール等による依存症は、ドーパミンの働きだけでなく、脳の変質も伴うので、少し変わってきます。

ドーパミンは、ストレスを生み、それがやる気につながるが、満たされる事は無い

話を戻すと、脳の報酬系は、こんな側面があります。

著者
1.報酬が手に入りそう

著者
2.ドーパミンが出る

著者
3.脳にストレスを感じる

著者
4.欲しいものを期待するほどストレスが溜まる

著者
5.やる気になる

「わくわくした気分になるのは欲しいモノのせい」で、「ストレスを感じるのはそれがまだ手に入らないせい」では無いのです。

正しくは、「欲しいもののせいでわくわくするが、それ自体で、ストレスを感じる」のです。

そして、「ドーパミンには報酬を期待させる作用があるが、報酬を得たという実感はもたらさない」ということが明らかにされています。(2001年スタンフォード大学脳科学ブライアン・クヌットソン博士)

これは、常に飢えた状態を作り出すということを意味します。しかし、体力的にも精神的にも長期間は持ちません。

したがって、このようなドーパミン系が活躍する報酬系のプログラムでは、達成感や幸福感を味わう事ができず、精神と身体をすり減らすだけになってしまう可能性があります。

この辺に対向して、ポジティブ心理学のHappynessとか、人生の主観的満足度。さらには、ポジティブ感情に対する研究で「報酬系」の問題がよく取り上げられます。

結果として、次第にドーパミンが枯渇していきます。

ドーパミンが少なくなると

ドーパミンが少なくなると、歩こうと思っても、身体がすくんでしまって、どういう順番に筋肉を動かしていいかわからなくなったり、身体が震えたり、運動そのものができなくなってきます。

また、物覚えが悪くなり、忘れっぽくなったり、全てゆっくりとなり、反応が鈍く、集中力や注意力も無くなって、無気力になりします。

さらに、次第に人と交わるのも嫌になり、社会から離れていくことになってしまいます。

ここまで来ると、ドーパミンは、罠もたくさんありますが、人間の全ての始まりかもしれません。

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