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レジリエンスを高めるために、科学的な裏付けを理解しましょう。深く理解する事で、最大にレジリエンストレーニングの効果を高めることができるでしょう。

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パワハラによって個人に受けたダメージを修復する

2018/07/18

パワハラを受けるとその被害者は、心理的なダメージが蓄積していきます。たとえそのインパクトが一時的には許容範囲内であっても、その影響は大きなものです。また、一時の大きなダメージより、小さなダメージの蓄積の方が影響は大きなものとなるという研究が多くあります。

個人にダメージがあるか?について観察するポイント

人は、パワハラのような自分にとってストレスフルな状況下では、精神的エネルギーを消耗してしまします。その結果、自ら何かを行なおうとするエネルギーが減少してしまい、活力が無くなってしまいます。(下記①②)また、一見、普段と変化が無いと感じる人でも、どこか自信が無く、精神的に不安定になりやすくなったりする場合もあります。これは、おどおどしているという意味ではなく、普段は何ら問題なく普通の態度です。むしろ快活で明るくふるまっている場合も多々あります。ところが、それが何らかの出来事をきっかけに、急に防衛的な行動(下記③)を取ったり、新しいことに今一歩踏み切れない態度(下記④)を示したりすることがあります。

さらに、この影響は、上司が変わったり、本人が職場を異動するというような環境変化があっても継続する場合があります。

そして、この影響は一律ではなく、人によって異なるものです。ですので、思わぬ人が思わぬ影響を受けている場合もあります。

どのような場合も、このような心理的な影響は、本人の内面で起こっていることなので、外からはなかなかわかりにくいものです。じっくりと観察する必要があるでしょう。

観察のポイントとして、以下のようなことがある場合、少し注意が必要です。

    以前と比べて、人と関わることを好まなくなったり、人と距離をおくようになった

    時折、じっと一人でじっと考える時間が増えた

    何かのきっかけで、普段と異なる不自然な反応を示すことがある

    新しいことや自分の経験の無いことについて積極性が無くなった

    何でも話すことができる親しい人がいない

①~④のポイントに該当するからといっても病気ではありません。ただ、喪失感を持ったり、自信を失っている程度からもしれません。しかし、この状態は、あまり健康的とは言えません。このまま放置すると何事に対しても消極的となったり、抑うつ的な気持ちになってしまう可能性もあります。

⑤の「何でも話すことができる親しい人」の存在は、自分の精神的安定を支える点で重要です。その存在が、同僚や上司でなく配偶者や両親、子供、友人でもかまいません。いざとなれば相談できる人がいればよく、具体的に相談をしていなくても心理的安定につながります。また、気の許せる人と雑談をするだけで、かなり精神的エネルギーの充電ができます。

何に焦点を当てていくか

本人の本音や気持ちを傾聴し、なんでも話しできる関係を構築することは大事です。それによって一時的に気持ちを楽にすることも可能です。しかし、周りの人間が、その人にとっての「何でも話すことができる親しい人」を意図的に会社の中に作ることは難しいかもしれません。

一方、①~④の状態に見られる精神的な疲れから、根拠の無い自信の喪失や憂鬱を感じの原因として、自分の有能性や重要性についての自己認識が危機に直面している場合が多くあります。これについては、本人の認識に偏りに関係している可能性があります。

例えば、このような心理状態では、自分の成功体験をあまり認識せず、逆に、失敗体験をより強く認識するということが多々あります。

その原因が本人の自己認識に起因する場合が多いので、様々な対策が実施可能です。

会社組織では、各自に成果を求めてアクションを起こしていかなければなりません。そんな中、人は、「自分がうまくできそうだ」という予想があれば、実際の行動が起されるということになります。逆に、「うまくできそうにない」という予想となると行動を起こさないということになります。

このような「自分でできそうだ」という感覚を、正確に表現すると「自分の目標や成果の実現に関しての自己能力への確信と信頼」となり、それを「自己効力感(セルフエフィカシーSelf Efficacy)」と呼んでいます。

これをもう少し詳しく見てみると、最初に「①結果を出すために適切な行動をとれるか」ということを考え、次に「②その行動が期待される結果を出すか」という二段構えになります。

実は、「②その行動が期待される結果を出すか」ということについては、誰も分からないことなのですが、自分の経験から判断してしまうものです。この判断が、精神的エネルギー低い状態では「どうせ行動しても思うような成果は期待できない」という思考になってしまいがちになるということです。そして「行動せず」、当然、「結果も出ない」ということになっていきます。

このように、自己効力感は、人の行動を決定する重要な要素となります。

自己効力感が高い人は、困難な状況において次のような特徴があります。

・適切な問題解決行動に積極的になれる。

・困難な状況でも簡単にはあきらめず努力することができる。

・腹痛や不眠などの身体的ストレス反応や、不安や怒りといった心理的ストレス反応を引き起こさない適切なストレス対処行動ができる。

要は、自己効力感が高ければ、ストレス状況に直面しても身体的・精神的な健康を損なわず、物事に対して積極的に考え、行動できるということになります。

自己効力感の高め方

これまで触れてきた否定的な自己認識を、次のような方法で変えていくことが可能です。

各項目の後半に「他者からの働きかけ」という項目については、自問自答も可能です。

達成体験

実際に自分自身で行動し、「達成できたという体験」のことで、これが最も自己効力感を定着させると言われています。

ポイントは、小さな成功体験を積み重ねることです。

例えば、「明日の朝いつもより30分早く630分に起きる」ということを自分で決めて、確実に実行します。難しければ、10分前の650分でもよいです。重要なことは難しいことを達成することではなく、「確実に実行する」ということです。そして、それが実行できたら、「今日の午後、お菓子は食べない」というような「違う目標を設定して、さらに確実に実行する」ということです。このような成功体験を通じて、「自分の決めたことは、自分で実現できる」というように自分で自分を信用できるようになることで、自自新がアップしていきます。

本人が自分自身で行う場合は、小さくて、短期間のものを目標にして、それを強く意識し、確実に実行。さらに実行したことを自分で確認しましょう。一つの目標がクリアー出来たら次の目標にチャレンジします。同時に複数の目標設定はやめておきましょう。はじめは2~3日で達成できるような目標が良いでしょう。難易度を無理に上げる必要もありません。

他者からの働きかけ:

会社の上司や周りの人での立場では、「あなた目標設定しなさい」というと、本人にとってプレッシャーになってしまいますので、「あなたは、何から手を付けようとしていますか?」という話題から入っていくと良いでしょう。その回答が曖昧だったり、長期的で難易度の高いものだったら、「1週間後にこうなっている程度良いのではないですか?」というような提案や示唆をしてみてはいかがでしょうか。その内容が本人にとって簡単すぎるものでかまいません。重要な事は1週間後にそれを実行できたことを一緒に喜ぶことです。

このようなことが難しければ、最近上手くいったことを聞くということも有効です。成功体験をクローズアップして、その喜びを共有することが重要です。本人は「そんな大したことないです」と謙遜するかもしれませんが、「いやいや、流石です」と賞賛することが大事です。本人はその体験を「成功」と思っていなかったり、そのような出来事すら忘れている可能性があります。

代理経験

自分以外の上手く出来ている人をモデルとして観察することで「自分でも出来そうだ」と学習することです。例えば、自分の知人が、不可能だと考えられていた偉業を達成すると、それが代理体験となり「自分にもできるのではないか」という自己効力感が発生することがあります。

本やブログを読んで影響を受けるとか、先輩の話を聞いて、「自分もやってみよう!」と行動に繋がることも、代理経験です。

想像的体験といって、自己や他者の成功経験を想像するだけでも、成功体験・代理体験と似たような効果が得られるという見解もあります。

例えば、「やればできる」と思うだけでなく口に出して言えば、次に、「どうすれば成功するんだろう?」という疑念が浮かぶはずです。続いて、様々な成功のための計画を考えるようになるでしょう。その成功のイメージが想像体験となります。

会社や知人に自分のモデルになる人がいると理想的です。かつての先輩や上司のように現存しなくてもかまいません。

他者からの働きかけ:

もしもあなたがアドバイザーのような立場で本人に接するチャンスがあれば、こんな投げかけをしてみて下さい。「現在も含めて、今まで自分が凄いな!と感じる人、あるいは、尊敬する人、憧れの人でもよいので一人、イメージしてください。」「その人があなたの目の前にいたとして、今のあなたにどのような声をかけてくるでしょうか?」

本人が、これを自問自答の形で実施してもよいでしょう。ゆっくりとしたペースで実施すると効果的です。

会社での成功事例発表会も良い試みですが、その内容が「~をした」「結果は~だった」というような駆け足のストーリーや事実の羅列ではあまり効果がありません。上手い方法は、事例のあらすじを紹介した後、成功体験の中の最も苦しかった一場面を切り出して、その時に実際に当人が「何に悩んだか」そして「どう考えたか」。そして局面が変わったときの当人の反応等、その一局面の頭の中で起こっていた葛藤や悩み、思考を紹介すると非常に効果的なものとなります。

 言語的説得

自分に能力があることを言語的に説明されると自己効力感が高まります。自分の強みについて、分かっていることでも、言葉で表現されたり、自分の感じていることを異なった言葉で表現されると1週間効果が続くという実験データもあります。

とかく会社内では、「~ができてない」「~が足らない」という問題点をあげつらうことが多くありますが、こればかりでは人間は疲れてしまいます。ミックスが必要です。

他者からの働きかけ:

「あなたなら出来る」という声かけは必要です。しかし、そればかり言い続けるとかえって不安になってしまうことがあります。本人が「もしできなかったら自分の能力が無いということになる」というストーリーになるからです。

ここでポイントは、「あなたならきっと出来る」「でも、今は努力がまだ足らない」ということを付け足すことです。失敗した時も「今回は、努力が足らなかった」とフォローすれば、本人は「次は、もっと努力しよう」となっていきます。

生理的情緒的高揚

ドキドキとかワクワクとするような状況を上手く乗り越えた経験が自己効力感を高めます。では、あなたはドキドキ、ワクワク(生理的情緒的高揚)はどのようなときに感じていますか?

「会社に行く日はなかなか起きれない」けれども、「ゴルフをする日は朝早くからワクワクして朝早く目覚める」という話をよく聞きます。「ゴルフは遊びだから」ということですが、では、仕事と遊びはどこが違うのでしょうか。そして、遊びのドキドキ、ワクワク感を仕事に持ち込めないのでしょうか?

これを研究した学者がいます。遊びの要素は、A偶然性、B準備、C模倣、D途中経過の4つあるということです。

A偶然性」とは、いつも実力ある人が勝利したり高い成果が出るわけではなく、誰にでも、予想しなかった結果が得られるという「たまたま」があるというような偶然性。

B準備」とは、本番までに準備が可能であり、その準備如何によって本番の結果が左右される。準備の努力が本番に行かされる。逆に言えば、本番だけで成果が決まらないので、誰でもチャンスを準備を通じて作り出せる。

C模倣」とは、マネすることで得られる成果がアップする要素があり、ある程度の段階までは模倣することで容易にレベルアップする。

D途中経過」とは、プレイしている途中で、自分の位置や状況が分かり、「どの程度巻き返しが必要か」が途中で分かる。

仕事に当てはめてみると、特定期間のキャンペーンや社内コンテストはこの4つの要素を満たしているかもしれません。このような企画をおこなうときは誰が優勝者か分からないという審査基準をつくることが大事です。実力がある人が常に勝利するものではワクワクドキドキはしません。

他者からの働きかけ:

一つの演習として、本人にとって「今までで、最もドキドキ、ワクワクして過ごした時期を思い出し、その時の何をしていたか、どのような状況だったか」ということを聞き出すことで、本人に思い出してもらうのも良いでしょう。この記憶を思いだすことで、昔の高揚感を再体験できます。

仕事の中では、基本的に、上記の①達成体験や②代理経験をほんの少し刺激的なものにするという組み合わせで実践することによって効果を高めるということなります。

 

以上4つの方法を紹介しましたが、本人にとって、全く新しい事おこなうということや、困難なことをおこなうということを奨励するものではありません。むしろ日常の仕事の中で、「どのようにおこなうか」というやり方を少し変えてみるとか、視点を変えてみることをどのように促すかが重

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